ツインテール探偵くるみの事件簿
次の日の昼休み、俺とくるみは校庭の真ん中を歩いて部室に向かっていた。
「依頼者は2年の坂谷栞さん。お気に入りの傘を盗まれたらしい」
刑事ドラマみたいに言わないとくるみは怒るのだ。
「どんな傘だったの?」
「あ、訊くの忘れた」
「もう、ワトちゃん。それじゃ助手失格だよ。それで?」
「栞さんは午後4時頃来て6時に帰ろうとしたけど傘がなくなっていた」
「つまり犯行はその2時間で行われたのね」
「栞さんを好きなやつがこっそり後を付けて持っていったのかもな」
くるみが部室のあるプレハブのドアの前に立ち止まって、
「それはないわね」
と、せせら笑うように言った。
「なんでだよ」
「雨の日は室内に入る前にまず何をする?」
「傘を畳む。」
「その時、雫が中に入らないように傘を外に向けるでしょ」
「それがどうしたんだ?」
「栞さんも同じ。入る前に校庭の方を見てるはず」
少し強引な気もしたがとりあえず納得。
「4時頃は土砂降りだった。校庭を誰かが歩いていれば気付くはず」
「それじゃ」
「栞さんの傘を盗んだ犯人はプレハブの中にいた誰かよ」
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん