ツインテール探偵くるみの事件簿
「ねえ、ワトちゃん。傘持ってる?」
くるみの前に折り畳み傘を見せた。
「よかった」
「なんだ、忘れたのか。かわいそうにな」
くるみが後ろから腕を巻きつけ四捨五入して150cmの体を預けてきた。
「わかった、わかった。入れてやるよ」
その時、同じクラスの能登の姿がドアの窓から見えた。傘を持った手を振って「また明日」と言っているようだった。俺も傘を振って答えた。その後ろを地味な女子が歩いていた。
「誰?」
「さあ。ここには色々な同好会があるそうだから」
「支度するからちょっと待ってて」
ノートパソコンからディスクを取り出してカバンに放り込んでいた。
「また刑事ドラマ見てたのか?」
「昨日、桃果に録画してもらったの」
「自分でしろよ」
「春は特別番組が多いの」
そして帰ろうとした時、すぐに美人とわかる生徒が困った顔をして現われた。
「私の傘、消えてしまったみたいなの」
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん