ツインテール探偵くるみの事件簿
栞さんがなだめてくれたおかげで舞台は整った。漫画同好会の部室に移動してから、くるみは昼休みに起こったこと、五つのかぎのうち三つが使われなかったことを説明した。
「残りは二つでしたがワトちゃんの容疑は消えました」
「なにが言いたいの?」
章子さんが怒るのも無理はない。
くるみはツインテールの髪を後ろに払ったあと、人差し指をまっすぐのばした。
「漫画同好会の部室を開けたのは、倉田章子さん、あなたです」
「なんなのこの子」
栞さんに向かって抗議していた。
「まずはわたしの推理を聞いていただきましょう」
相変わらずマイペースだ。
「章子さんはなぜお兄さんからこっそりかぎを拝借したのか」
「預かったって言ったでしょ」
章子さんの反論を無視して続けた。
「それは兄の部室に入るためです。ではなぜ入る必要があったのか?」
くるみは全員の顔を見回した。
「それは昼寝をするためです」
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん