ツインテール探偵くるみの事件簿
みんなポカーンとしていた。栞さんだけは顔をそむけてこらえている。
「みなさんお忘れですか? 章子さんは漫画部の副部長ですよ」
「あ、ひょっとしてわたしと同じ?」
美咲に向かってくるみがうなずいた。
「徹夜で漫画を描いたんでしょう」
「女の子が安心して寝られる場所、それはかぎのある部室くらいでしょう」
「だったら妄想愛好会が開いてるはずだろ」
「ワトちゃん急ぎすぎ。これからそれを説明するの」
と口を尖らせた。
「昼下がりの逆密室事件は勘違いから起こったのです。章子さんに罪はありません」
いつ決めたんだそんな名前。あきらめたのか章子さんもなにも言わずに聞いている。
「この建物に入って章子さんは戸惑います。どこが兄の部室だと」
くるみは部屋の中をゆっくりと歩いていた。
「だからこう思うはずです。このかぎで開けば兄の部室だ、って」
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん