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ツインテール探偵くるみの事件簿

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 教科書はそのまま教室に持って行くことになった。まずは理科だ。
「あの子大丈夫かな?」
 このとき声を掛けて来たのが海東歩美だ。くるみを見ると、自分の頭を越える高さまで積んでいた。
「落とすぞ」
「何度も来るのは面倒でしょ」

「ねえ、待ってよ」
 階段の踊り場で俺と歩美が振り返ると、くるみがフラフラしながら追いつき、床に教科書を置いてゼーゼー言っていた。
「暑いから脱ぐ」
 と、白いコートを窓枠に掛けた。
「だから言っただろ、少し持ってやるよ」
 くるみがムッとした。
「いい」
 教科書を抱え上げ、バランスを取るように後ずさる。
「きゃっ」
 歩美にぶつかって、二人が階段から落ちそうになった。くるみの体と歩美の腕をつかんで引き寄せた。三人が折り重なるように倒れ、教科書が散らばった。

「ちょっと」
 胸に触れていた俺の手を払いのけた。
「あ、悪い」
 くるみが両手で胸を押さえた。
「これはわいせつ罪よ」
「わざとじゃないって」
「そうよ、助けてくれたんじゃない」
 歩美がなんとかなだめてくれた。

「ちゃんとある?」
 教科書を拾いながら、歩美が訊いた。
「俺は大丈夫だ」
 くるみが抱えているのを見ると、少し低くなったような気がした。
「どうやら教科書が消失したようね」