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ツインテール探偵くるみの事件簿

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 入学して間もなく、俺は新しい教科書を運ぶ係りになった。教科書があるはずの教室の前に生徒が集まって騒いでいた。
「おかしいわね。業者さんがここに運んでるはずなんだけど」
 担当の屋久先生が言った。教科書が見当たらないらしい。
「それにドアが閉まってるわ」

「これは密室よ」
 生徒の中から声が挙がった。フード付きの白いコートを着たツインテールの女の子。くるみと初めて会ったのがこのときだ。『なんだこいつは?』が、第一印象。ここにいた全員がそう思っただろう。

「先生、ここの鍵はどなたがお持ちですか?」
「職員室にあるから、どの先生でも持ち出せるけど」
「なるほど」
 つま先立ちになってドアの窓から中を覗いた。
「窓も閉まってますね。これは明らかに密室です。わたしがこの事件を……」
「屋久先生。業者の人が遅れて、今トラックが着いたみたいですよ」

 俺たちは教科書を受け取るために外へと向かった。
「行かないのか?」
 むくれた顔のくるみに声を掛けた。
「第一発見者の誤った情報によって事件が混乱するのよ」
 と、ぶつぶつ言っていた。