ツインテール探偵くるみの事件簿
「ワトちゃん、開けて」
ドアを開けると、ハードカバーや文庫本を抱えていた。
「よいしょっと」
テーブルに載せたのは全部ミステリー小説だ。本棚にもたくさんあるがくるみが読んでいる姿を見たことがない。
「桃果から貰ったの」
「どうせ読まないだろ」
「読むわよ。ちょっと考えがあるの」
「二人はクラスが違うのにどうやって知り合ったの?」
栞さんに訊かれて、くるみと顔を見合わせた。
「出会いの話を聞かせてよ」
「探偵事務所を開く前の事件ね」
「どんな事件なの?」
「ワトちゃんがわたしを押し倒して胸触った事件」
栞さんがキッとにらんだ。
「違うだろ。そうだな、教科書消失事件でいいんじゃないか」
そもそも事件かどうかもあやしい。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん