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ツインテール探偵くるみの事件簿

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 終業式の日、一人で探偵事務所にいると、栞さんがやって来た。
「くるみは?」
「まだホームルームやってましたよ」
「くるみとワトくんって同じクラスじゃないんだっけ」
「ええ。だから俺の名前をちゃんと憶えてないんですかね」
 くるみは俺のことをワトちゃんとしか呼ばない。
「名札を付けてるからわかると思うんだけどな」
 と、缶のお茶を飲む。
「くるみはワトくんの顔しか見てないのよ」
 軽くむせた。
「冗談よ。でも、それっぽい気はしてるでしょ?」
 確かにくるみは話すとき、俺の目をまっすぐ見ている。
「だとしても、くるみの目の高さに俺の名札があるんですよ」
「ワトくん、知らなかったの?」
「何がですか?」

「くるみって、メガネ掛けてるのよ」

 今度は本気でむせた。しばらく声が出ない。
「大丈夫?」
「じょ、冗談ですよね」
「本当よ。わたしは時々見てるし、授業中は掛けてるんじゃない」
 小さい字はぼやけるくらいの視力らしい。
「くるみのメガネなんて見たことないですよ」
「きっと訳があるのよ。だから訊いちゃ駄目よ」
 と、指を唇に当てる。当人がやって来た。