ツインテール探偵くるみの事件簿
「以上がうさぎちゃん失踪事件よ」
話し終えて、くるみはソファーにもたれた。
「恋のキューピッドまでやってあげたのになんでわたしを憎んでるんだろ」
栞さんが頭を抱えてソファーに伏せていた。
「どうしたの?栞ちゃん」
「なんとなくわかった」
「え、本当? 教えて教えて」
「教えなーい」
「なんでよ。教えてよ」
その方が面白いと思っているのだろう。
「ワトくんはわかってるんでしょ?」
「ええ。くるみの話を聞いてなんとなく」
なぜくるみはわからないのだ。
「もう、二人だけ知っててずるい」
「ねえ、くるみ。ワトくんの名前言ってみて」
「え? うーんと、脇坂徳一だっけ?」
誰だそれは。
「でも、どうして今になってくるみをはめようなんて」
「このせいかも知れない」
栞さんがカバンから1冊の漫画を取り出した。『ツインテール探偵くるみの事件簿』だった。
「完成したんだあ」
くるみが嬉しそうにパラパラとめくった。
「べつにおかしな所はありませんけど」
くるみの隣で覗き込みながら言った。
「くるみがワトくんをこき使ってるように少し脚色したの」
足蹴にされたりもするがそんなに違ってはいないだろう。それ以外は正確に描かれていて、プールの事件の時にくるみがキスしたのも恋愛漫画っぽくなっている。くるみが少し赤くなった。
「なによ」
俺の視線に気付いて漫画を閉じた。
「これを歩美が読んでいる可能性があるってことですか?」
「つまり、私に挑戦したくなったってことね」
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん