小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

ツインテール探偵くるみの事件簿

INDEX|151ページ/170ページ|

次のページ前のページ
 


 その時、テニスボールが飛んで来て、歩美の顔に当たった。
「ごめん、大丈夫?」
 テニスラケットを持った男が慌てて駆け寄る。
「大丈夫なわけないでしょ」
 ボールを握り締めくるみが怒鳴った。
「渡辺くん、どうしたの?」
 と、金網の向こうから声がした。
「あなた渡辺?」
 ちなみにこの人は二年生の渡辺先輩だ。
「そうだけど」
「あなた、この子と付き合いなさい」
 と、歩美を指さす。
「え? え?」
 戸惑う歩美。
「女の子に怪我させたのよ」
「そんな怪我というほどのことじゃないですから」
 渡辺先輩は困った顔で頭をかいた。
「1ヶ月だけでも付き合いなさいよ」
「まあ、それくらいなら」

「くるみ、見つかったのか?」
「あ、ワトちゃん。ウサギもうさぎちゃんも見つかったよ」
 歩美が戸惑った顔をしていた。
「私の助手のワトちゃん。さっき言った下僕」
「だれが下僕じゃ」
「わたしが仲人してうさぎちゃんはこの人と付き合うことになったの」
「へえ、そうなんですか」
 俺は歩美と渡辺先輩を見た。
「あの、ちが……」
「さ、あとは二人に任せて邪魔者は去りましょ」
 と言って、俺の腕を取り、歩美に向かって親指を立てた。『うまくやってね』という意味だが、『そっちの渡辺で我慢しなさい』と、歩美は解釈したのではないだろうか。