ツインテール探偵くるみの事件簿
「それからどうなったの?」
栞さんが促した。
「この後はくるみの方が詳しいだろ」
「じゃあ、わたしが話すね」
以下はくるみの話した内容だ。
くるみはテニスコートの近くで歩美を見つけた。みつあみにメガネ、白いハイソックスに校則通りのスカート丈。俺が教えた特徴ですぐに依頼者だと気付いた。
「あなたがうさぎちゃんね」
「はい?」
その時、ウサギが飛び跳ねた。
「あの、ちょっとお話しませんか?」
ウサギを抱えながら歩美が言った。二人はテニスコート近くのベンチに座った。
「渡辺くんとはどういう関係なんですか?」
歩美が小さい声で訊いた。
「関係って?」
「えっと、つまり、恋人とか」
「そんなのと恋人なわけないでしょ」
「じゃ、友達?」
「全然知らない赤の他人よ。ひょっとして、渡辺ってのが好きなの?」
歩美が小さく頷く。
「だったら告白しちゃえば。なんなら私が手伝ってあげる」
「本当?」
「男なんて下僕よ。私だって一人いるんだから」
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん