ツインテール探偵くるみの事件簿
俺がウサギを探していると、
「ワトちゃん、ワトちゃん」
倉庫の中からくるみが手を振っていた。
「何してるんだ?」
「誰もいない?」
辺りを見回してから「いないぞ」と答えると、警戒しながら出て来た。
俺は依頼者が来て、ウサギを探す手伝いをしていることを告げた。
「そ、そう」
「くるみと同じ名前のウサギらしいよ」
急にムッとした顔になって、
「紛らわしい名前付けないでよね。それに最初の依頼がウサギを見つけること?」
「立派な依頼だろ」
「で、依頼者の名前は?」
「あ、聞いてなかった」
「ワトちゃん、それじゃ助手失格だよ」
「そこら辺にいるんじゃないか? あれ、いないな」
「失踪ね」
「勝手に決めるな」
「依頼者の名前をうさぎちゃんにして、『うさぎちゃん失踪事件』と命名するわ」
「だから失踪してねえって、依頼を複雑にするな」
「くるみ、飼育小屋を開けたでしょ?」
話の途中で、栞さんが訊いた。
「ど、どうして?」
おどおどしていた。
「警察犬のような動物を探しに行ったんじゃないの?」
そして、飼育小屋を開けてウサギを逃がしてしまい、慌てて追いかけているときに、園芸部の会話を聞き、
「叱られると思って倉庫に隠れてたんじゃない?」
「で、でも入ったとき飼育小屋の扉はちゃんと閉めたよ。きっと誰かが開けたのよ」
と、開き直った。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん