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ツインテール探偵くるみの事件簿

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「風なんて吹いてたかしら」
 突然、栞さんが言った。誰からも返事はなかった。なぜなら今日は暖かいが、風は吹いてなかった。
「なにが言いたいんですか?」
 と、歩美がにらむ。
「風もない、二人がやったという証拠もない。だったら結論は一つでしょ」
 俺は嫌な予感がした。

「トロフィーはワトくんが壊したのよ」

「へ?」
 くるみがきょとんとしていた。
「だって、校長室にはワトくんしかいなかったんだから、そうなるでしょ」
「栞ちゃんはどっちの味方なのよ」
「もちろん、くるみよ」
 そう言って、微笑んだ。
「じゃ、呼び出しの紙と写真は?」
「もちろん、ワトくんの仕業よ」
 もちろん、そんなことはしていない。だが状況証拠はすべて俺にとって悪い方にある。
「盗撮に破壊行為、停学、いえ、ひょっとしたら……」

「トロフィーを壊したのはわたしよ」
 と、歩美が言った。

 そして、歩美はこう続けた。
 トロフィーを持ち出そうとしたとき、床に落としてしまった。屋久先生を呼びに行き、校長室に戻ったら俺がいた。
「叱られるのが嫌で言い出せなかったの、ごめんなさい」
 と、俺に頭を下げた。

「なに、めちゃくちゃなこと言ってるの」
 当然、くるみがいきり立つ。
「まあまあ、行き着くところは同じだったでしょ」
 と、栞さんがなだめて事件は曖昧なまま決着した。