ツインテール探偵くるみの事件簿
「記念ボールが校庭にあっただけで私たちがやったという証拠にはならない」
「わかった。じゃあ、屋久先生」
「は、はい」
突然、おはちが回ってきて、驚いた顔をしていた。
「歩美が『校長室で物が壊れる音がした』と言って呼びに来ましたよね」
「ええ、そうだけど」
「それは5時のチャイムが鳴る前だったんじゃないですか?」
トロフィーが落ちたのはチャイムが鳴っているときだ。
「後に決まってるでしょ!」
歩美がはっきりと動揺していた。
「歩美には聞いてない」
「えっと、どうだったかな」
と、屋久先生は天井を見ていた。
くるみがイライラしながら回答を待っていると、
「チャイムが鳴る前に『校長室で音がした』って、屋久先生に告げたわ」
と、歩美が言った。
「罪を認めるのね」
「でも、他の教室の音だったみたいね。わたしの勘違い」
「は? 今ごろなに言ってるのよ」
「そして、チャイムが鳴ったとき、勘違いしたことが本当に起こってしまったの」
くるみが歩美を指さす。わなわなと震えている。
「そ、そ、そんな無茶苦茶なことが通ると思ってるの」
「筋は通るでしょ。それとも反証がある?」
反論できないくるみを歩美が勝ち誇ったように見ていた。
「トロフィーは風で倒れた。それでいいじゃない」
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん