ツインテール探偵くるみの事件簿
「まず、どのようにしてトロフィーを壊したかを説明します」
テニスラケットを持った栞さんを階段の方へと行かせた。
「渡辺先輩は階段の踊り場に隠れてターゲットが来るのを待ちます」
栞さんが階段を登り、姿を隠した。
「ワトちゃんが校長室に来ます」
俺がドアの前に立つと、栞さんが階段を降りてサーブの構えをとる。俺がドアを開けて中に入り、床にあったくるみの写真を拾おうとしゃがむ。
「その時、ボールが放たれたの」
栞さんがラケットを振った。
くるみは持っていたボールを使って軌道を描いた。
「ボールはドアからしゃがんだワトちゃんの上を通りトロフィーに当たった」
「なるほど」
と、屋久先生が感心したように呟いていた。
「それくらいは出来るでしょ?」
と、くるみが渡辺先輩に訊くと
「誘導尋問はやめて。テニスボールで倒したという証拠でもあるの?」
「証拠は校庭で見つけた。これが犯行時に使われたボールよ」
『全国テニス大会優勝』の文字を歩美に見せた。
「どうしてそれが証拠になるのよ」
「記念ボールは室内に飾っておくもの。例えばトロフィーのある部屋とか」
そう言って、台の上にボールをのせた。
「このボールなら部屋の中を跳ねても、トロフィーと一緒に落ちたと思うでしょ」
そして、窓の近くに来て、
「だけど今日は暖かいから窓が開いていた。外に出たのは犯人にとって想定外だったの」
と、勝ち誇った目を歩美に向けた。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん