ツインテール探偵くるみの事件簿
「次はどうするの?」
栞さんが訊くと、
「なにを使ったのかを調べたい」
そう答えて野球部のグラウンドに向かった。『ピッチャーストライク入ってないぞ』という揶揄した声が聞こえた。
「うちの野球部はストライクが入らないので有名よ」
栞さんが説明した。
次はテニス部だ。女子の黄色い声が聞こえた。テニスコートの隅に置いた空き缶に向かってサーブをしている男がいた。百発百中ではないが結構当てている。
「さっきの人ね。壊れたのは彼のトロフィーだったんでしょ」
その時、雨がポツリポツリと降ってきた。
「栞ちゃんに調べて欲しいことがあるの」
「なんでも言って」
「わたしたちはテニスボールを探すの」
「テニスボール限定でいいのか?」
「犯人は隠蔽しようとするはず。限定するのは危険だけど急ぐ必要がある」
そう言って、雨が降る中、傘も差さずに走り出した。俺の為にやってもらっているので文句は言えない。泥だらけになりながら、校長室近くの地面をくまなく調べた。
「あったあ」
と、くるみが草むらから黄色いテニスボールを掲げた。
探偵事務所で濡れた体を拭いていると、栞さんが戻って来た。
「くるみの予想通り。渡辺くんが最近入れ込んでいる女子は海東歩美よ」
意外なことに俺は驚いた。
「くるみの方はどうだったの?」
「見つけたよ」
そう言って、校庭で見つけたボールを見せた。そこには『全国テニス大会優勝』の文字が書かれていた。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん