ツインテール探偵くるみの事件簿
「ポスターの方はどうなるの?」
桃果が訊いた。
「見せて」
しばらく見てから、栞さんが微笑んだ。
「ここに押しピンのあとがあるでしょ」
鼻の穴に小さな穴があった。よくあるイタズラだ。
「こんなことされて一番怒る人が破いたんじゃないかしら」
みんながくるみを見る。
「へ?」
「え、だってそれ事務所に貼ってあったやつじゃないの?」
桃果が1年の掲示板近くのゴミ箱にあったことを話した。
「こんなの見たら、くるみがまた怒ると思って」
「他のも破られないうちに事務所も含め全部俺が剥がしたんだ」
くるみは指を絡めながら上目遣いで栞さんを見ていた。
「栞ちゃん疑ってごめんなさい」
「くるみは悪くないって。ワトくんが勘違いしただけでしょ」
確かにそれはあるかもしれない。仲のいい二人がケンカしているので周りが過剰に反応してしまった。
「でもカバンに仕舞ったのにどうして見つかったの?」
と、桃果が訊く。
「くるみが勝手に開けたんだよ」
美咲と桃果が「ちょっとそれは」という顔をしていた。
「じょ、助手のカバンをチェックをするのも探偵の役目なの」
「桃果が紙のような物を渡したからじゃないの?」
栞さんが指摘すると、美咲と桃果はきょとんとして、くるみはおろおろしていた。桃果がラブレターを渡したとでも思ったのだろうか。くるみはドラマの見過ぎだ。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん