ツインテール探偵くるみの事件簿
その日の放課後、廊下を歩いていると桃果が駆け寄って来た。
「これ、見て」
探偵事務所の恋愛相談ポスターだ。まだ貼っていたらしい。くるみが両手を握って空を見上げている姿が全面に出ている。ポスターが顔のところで破かれていた。
「1年生の掲示板近くのゴミ箱に捨てられてたの」
「まさか」
栞さんがここまでやるとは思えない。
「わたしも違うとは思うけど、くるみに見せるわけにはいかないでしょ」
なんとか処置して欲しいと折りたたんで俺に渡したとき、
「なにしてるの?」
背後からくるみの声がした。
「べ、べつになにも」
俺は慌てて、カバンに入れた。
不信そうに俺と桃果を見ていたが、何も言わずに歩き去った。
「かなり機嫌悪そうね」
争いの種になりそうなので探偵事務所から校舎までポスターを剥がして来た。
事務所に戻ると、くるみが俺のカバンを開けて、破れたポスターを取り出していた。
「これはどういうこと?」
「まだ栞さんがやったと決まったわけじゃ」
「栞ちゃん? そう、そういうこと」
余計なことを口走ってしまった。
案の定、くるみが漫画同好会の部室に向かった。ケンカを始めたので、俺と美咲で二人を引き離した。なにかボタンの掛け違いのようなことが起きている気がした。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん