ツインテール探偵くるみの事件簿
「こんなの破ってやる」
「そんなことしたら絶交よ」
漫画同好会の部室からくるみと栞さんの争う声が聞こえた。仲のいい二人がケンカをしているのは珍しい。
くるみが怒っていたのは『ツインテール探偵くるみの愛の事件簿』という漫画だった。くるみが扱った事件を題材にしているのだが、話の途中から探偵と漫画家の濃密な恋愛物になってくるらしい。まあ、くるみが怒るのも無理はない。
そして次の日、事件は起こった。
「ワトル」
昼休み、熱い美咲が声を掛けてきた。ちなみに俺の名前は渡辺透だ。最近まともに呼ぶ人がいない。
「うちと対決するつもりなのか?」
「何の話だ?」
「これ」と言って、見せたのは真っ二つになった漫画の原稿だった。
「栞さんは『くるみのメッセージ』だって言ってた」
いくらなんでもここまでやるとは思えない。
このことをくるみに話すと、2年生の教室へと駆けて行った。後で聞いた話では栞さんとケンカを始めたらしい。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん