ツインテール探偵くるみの事件簿
次の日、俺も注意していると、能登のすぐ後を望月さんが歩いていた。
「ね。言った通りでしょ」
くるみが嬉しそうに俺の顔を見る。
「だけど、能登が部屋から出たことは望月さんにはわからないだろ」
能登がいる妄想愛好会の方が出入り口に近い。
「ドアの音でわかるんじゃない」
「確かにそうだけど。望月さんは待ち構えているのか?」
「ねえ、能登くんの好きなタイプ訊いててよ」
すっかり、恋のキューピットになりきっている。
能登とはクラスが同じなので、昼休みに何気なく女性の好みを訊くと、
「そうだなあ。髪はショートでメガネを掛けて……」
「妄想愛好会にしてはまともだな」
「あとは、ネコ耳としっぽがあれば最高だな」
人間じゃないな。
その日の放課後、探偵事務所に入ると、
「ワトちゃん、いつでも出れる用意して」
「なぜ?」
「望月さんをつけるの。望月さんってなぞが多いでしょ。興味ない?」
帰宅する望月さんをつけることにした。
角を曲がったのを急いで追いかけると、目の前に現われギョッとした。
「何か用?」
「よ、よくわかりましたね」
カバンの中から小型カメラを取り出した。それで背後をチェックしているらしい。何のために?
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん