小説が読める！投稿できる！小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ！

「くるみに手品を見せてあげる」
　トランプを取り出し栞さんが言った。トランプの束を裏にして並べる。
「ハートのエースだと思うものを選んで」
　と、くるみに言った。懐かしい、子供のころやったな。
　くるみが指差すカードを栞さんが取り、それを見てから次に、
「スペードの１０だと思うものを選んで」
　くるみが選ぶと、取って確認する。
「最後に、わたしがダイヤの７だと思うものを取るわね」
　と、カードを１枚抜き取る。そして、３枚のカードをくるみの前に見せると、言った通りのカードが揃っていた。
　騙されるのは小学生と、固まって目をパチクリさせているくるみぐらいだろう。

「どうして、どうして？」
「じゃ、くるみにだけ種明かししてあげる」
「わーい、ワトちゃんは聞いちゃ駄目だからね」
　と、テーブルを隠す。
「それは残念だなあ」