ツインテール探偵くるみの事件簿
その日の放課後、探偵事務所で、
「どうなったかな、あの二人」
栞さんが言った。
「男と女の関係なんてなるようにしかならないものよ」
くるみが両手を後ろに組んで、窓の外を見ていた。お前が達観した言い方をするな。
里穂が探偵事務所にやって来た。
「あ、生方さん。あれから……」
と、栞さんが訊くと、ソファーに座っていた俺の腕を取って、
「わたし、この人と付き合うことにしました」
と、言った。
「は?」
くるみも目をパチクリさせて、事情が飲み込めない様子だ。
「ワトくんがもてるなんて謎ね」
栞さんが言った。俺がもてるとミステリーなのか?
とりあえず、今日のところは帰ってもらった。
「あの作戦でワトくんを好きになったのかしら」
栞さんが小首を傾けた。
「これは恋のつり橋事件よ」
くるみが腕を組んで頷いていた。つり橋にいる男女が緊張感を恋愛と勘違いするみたいなことが言いたいらしい。
「栞ちゃんのような美人の彼女がいたことがショックだったの」
それがつり橋だという。
「で、たまたま近くにいたワトちゃんを好きになっちゃったの」
そんなわけねえだろ。
「誰でもよかったの。刷り込みに似てるわね」
里穂はヒヨコか。だが、好きになった理由がわからない。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん