ツインテール探偵くるみの事件簿
くるみと望月さんがにらみ合っているので、
「三人の話も聞いてあげましょ」
と栞さんが助け舟を出した。
「いいよ。聞いてあげる」
腕組みをしてぷいと横を向いてしまった。探偵役は栞さんが引き継ぐ形となった。
「それじゃ、まずは倉田君から」
「おう、何でも訊いてくれ」
「昨日は傘を持ってなかったの?」
「いや、持ってたぞ」
「へ?」
くるみの推理が崩れ始めた。
「雨がやんだから確認せずにカバンに突っ込んだんだ。能登、悪かったな」
大して悪ぶれる様子もなく答えた。
「次は能登君ね。帰る時に傘はなくなっていたの?」
「はい。仕方ないから透の傘を借りたんですよ」
「へ?」
俺とくるみから同時に声が出た。
「昨日、部室をのぞいた時に借りるって言っただろ」
あの時言ったのは「また明日」ではなく「傘借りた」だったのだ。ぶら下がって来たくるみを排除していて口の動きしか見ていなかった。
「透は折り畳み持ってるし、中でいちゃついてたからそのまま借りたんだけど」
「それじゃ最後にワト君。傘立てにあるのはあなたの傘?」
「えっと」
くるみがすがる様な目で俺を見ていた。
「違います」
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん