【完】恋愛症候群【過去作】
嫉妬、または
マリーゴールド
『聖母マリアの黄金の花』という意味の花。
春から秋にかけて咲き、水が無い状態でもなかなか萎れない。
花言葉は『常に可愛い』そして、『嫉妬』や『絶望』など、全く関係の無い言葉ばかり。
そんな花が、そんな花を千歳チャンだって言うシュウは、やっぱりどこか詩人だと思う。
まあ、俺にはわかんねーけど。
とりあえずシュウの友人でもある俺は、それと共にアキラの友人でもあるわけで
シュウの半ば裏切りみたいな行為(つまりやたら千歳チャンと仲良くしている)に、哀しみを通り越してイライラしはじめているアキラを宥めるのは、やっぱり俺なのかなー、なんて憂鬱になる。
千歳チャンがアキラの彼女だった時は、別に俺が千歳チャンと仲良くしようが平気だったのに……。
『彼氏』じゃなくなったから、余裕が無いのかなー。わっかんねーや。
麗子チャンは可愛い、と思う。でもやっぱり綺麗過ぎて、お人形みたいで。
デートなんて、映画はラブロマンスで、他はお洒落な店に行ったり、アキラの部屋で寄り添ってる。らしい(麗子チャンにのろけられたんだよ…)
アキラってば段々ツンツンしてきて、素っ気ないっていうか荒れたっていうか。
麗子チャンはアキラにお似合いだと思うけど、やっぱりアキラの彼女は千歳チャンが良い。休日は2ケツして商店街うろついて、ゲーセン行ったり、映画はアクションモノ!おまけに駄菓子屋に寄って大量に買ってくんだ!千歳はあの10円だか20円だかの小さなヨーグルトが好きなんだぜ!って、そう生き生きと語ってたアキラが懐かしい。あれ、これもノロケられてた?
同じノロケだけど、やっぱり千歳チャンが彼女だった方が良いな。だって、一緒に飯食っててこんなに気まずいの、はじめてだよ。
前なら、4人で飯食って、俺が千歳チャンのお弁当(千歳チャンママの愛妻弁当!あれ?愛母弁当?)のオカズを俺がとるのをアキラが阻止して、千歳チャンは子犬みたいにケタケタ笑ってて、シュウは淡々とそれを見ながら、でも実はアイツも楽しんでたんだ。
なのに今じゃどうだ。
他の友達と一緒に食べている千歳チャンの所にシュウが押し掛けて、千歳チャンの友達は気をつかってどこか行っちゃうから、結局千歳チャンとシュウの二人きり。
アキラはそれをチラチラ睨みながら麗子チャン手作りの弁当を無表情でつついて、麗子チャンは一人空気読まないで何かをアキラに喋りかけてて、で、その間に今日も菓子パンな俺がいる。
かなり、しんどい。
千歳チャン千歳チャン。
俺も待ってるから、意地の張り合いなんてやめて下さい。
神様一生のお願いだ。
俺らの馬鹿のせいでこんな事になったのなら、時間を戻してくれよ。
頼みます。
(神様なんか、肝心な時に助けてくれないとわかってるけれど。それでも、)
ただ、願う。
作品名:【完】恋愛症候群【過去作】 作家名:木白