【完】恋愛症候群【過去作】
マリーゴールド
嫌いになったのか、と聞かれれば、多分この感情は『好き』なのだろうと答える事は出来る。
でも、またヨリを戻したいか、と聞かれれば『NO』だ。
自分でも、熱しやすく冷めやすい性格だとわかっているが、これはどうしようもない。まあ、それに今の『元彼氏』の彼女は、綺麗だと評判の北条麗子さんだ。
私とは全然違う綺麗系で、面白くないと思う気持ち半分。『やっぱりね』という気持ち半分。
総合的にまとめると『別にもうどうでもいい』のだが、何故かあの日からこの男はやたらと私に付きまとって、ヨリを戻せと言ってくる。
この、佐々木アキラの親友であるシュウという男は。
「意地をはっても悲しくなるだけだよ」
「何回も言うけど、意地なんかはってないから!」
いつものやり取り。
ねぇ、君、わかってる?
こうやって私と君が喋っていると、君の『親友』が、哀しそうな、辛そうな表情でこっちを見ているんだよ。
それはとっても、君の意に反する事じゃないの?
「アキラの事、好きでしょ?」
「好きだよ。良い人だから」
「なら……、」
「あのね、少年。人生ってそんなに簡単じゃないんだよ」
だって、そう。
あの人は彼女を選んだから。
本当に好きなら、どんな事をしてでも引き留めるでしょう?
「私はちょっと、狂っているんだよ」
『好き』を沢山貰って、『好き』のかえしかたがわからなくなって。
綺麗な方が良いとか言い出すし、
「そう、多分恋愛に疲れたんだよ。きっと」
そうでなきゃ、こんな事思わない。
『愛してるから』殺したい。
殺されたい、なんて。
そんな狂ってる事、思わない。
(私は、愛故に私を殺してしまえるぐらいの愛が欲しいの)
作品名:【完】恋愛症候群【過去作】 作家名:木白