【完】恋愛症候群【過去作】
今よりちょっと昔
千歳と付き合う前、俺には好きな奴がいた。隣のクラスの山口リンだ。
頭も良くて足も速い、ついでに可愛いし、気立てのいい女。
かっこいいだのなんだのもてはやされていた俺は、その気になってリンに告白をした。結果は、フラレた。
理由は『恋愛とかキョーミ無い』
それでも俺には大ダメージで、その数日後、千歳に告白された。『俺、こないだ山口にフラレたばっか何だけど』と言うと、顔を真っ赤にして焦ったように『知らなかった』とか『ごめんね』だとか。
そんなありきたりの言葉だったけど、必死に謝ってくるその様子がおかしくて。
それで一週間後にOKを出した。
なんで一週間後かっていうと、俺がやっぱりまだ山口リンの事を引きずっていたから。それと、千歳のあの慌てた顔が見たかったから。
今思うと、俺は凄い失礼な理由で千歳と付き合いはじめたんだ。
最初の方は、千歳と付き合う俺を見て、山口がちょっと嫉妬してくれないかな、なんて思ったり。
そのうち俺の方が千歳に惚れこんでしまっていて……。千歳にもそれがちゃんと伝わってると思ってた。
でも違ったみたいだ。
現に千歳は俺がまだ山口を好きだと思っているような口ぶり。
違う、と
俺が好きなのは千歳だと、
言えればどれほど楽だろうか。
千歳、千歳。
俺が悪かった。
だから、佐々木君なんて呼ばないでくれ
辛いんだよ、千歳。
もうわけがわからない。
俺はどうしたらいいんだ?
あの一件から、俺が千歳に近づこうとすると、周りが絶妙なコンビネーションでそれを阻止する。
そんなやり取りが何回も続いていたある日、俺の机の中に一通の手紙が入っていた。
アキラ君へ
ずっと前から好きでした。
林さんと別れてすぐにこんな事を言うのもどうかとは思いましたが、、、
好きです。
私と付き合ってくれませんか?
北条麗子
神よ、
アンタは何がしたいんだ?
作品名:【完】恋愛症候群【過去作】 作家名:木白