大陸戦線異聞
男の腕時計のアラームが原始的な電子音を鳴らした。
「う・・・」
男の身体のあちこちがきしんでいた。
「もう時間か・・・くそ・・・やっぱ鉄板の上はきつい」
男は目をこすりながらあくびをかき、棺桶のような狭い空間で器用に、それでいて滑稽なポーズで「のび」をし、のそのそと「一等客室」から這い出た。
コックピットに続く廊下の壁に並んでいる窓から外をのぞき込む。東側だったようで、背後の方向から差し込む夕日が、海の向こうの山脈をオレンジ色に染めていた。
「・・・ん?」
男はすぐに違和感の正体に気づいた。