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大陸戦線異聞

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後方を映していたサブディスプレイが瞬時に真っ白に光り、そのまぶしさで男は思わず顔をしかめた。その直後、機体が大きく揺れた。

----な、何だ!?

数秒で回復したディスプレイの映像では、四機いたはずの戦闘機が一機になっていた。その一機も、エンジンから煙を噴いていた。

----何だ、事故か!?

事故ではなかった。男がメインディスプレイに目をやると、画面の片隅に長距離通信の未読マークのアイコンが点滅していた。

"ASAT照準データリンク チャンネル8492をオンラインへ"

「まさかっ!?」

男は上を見上げた。もちろん、狭いコックピットのむき出しの装甲板がそこにあるだけだったが、男の視線にはさらにその上空を向いていた。
男は固唾を呑んでパネルの上で指を走らせ、機兵のFCS(火器管制システム)をチャンネル8492に開き、待ち受け状態にした。すると「--WAITING...--」の文字が数秒で「--CONNECT!!--」、そして「--ONLINE--」へと変わって接続先のステータスが表示される。
機兵のレーダーとリンクした「それ」の照準精度を示す数字が急激の上昇した。

「やはりサイレントラインか!」

男は叫んだ。
直後、第二射が来た。残る一機の戦闘機が一瞬で粉々となった。異常な事態を察知したのか、パラサイト・シップが急旋回して離脱を試みる。

----馬鹿が。こっちに被害が及ばないようわざわざ落としやすい場所に移動してるようなもんだ・・・

第三射。パラサイト・シップが爆炎に包まれていた。
作品名:大陸戦線異聞 作家名:橘健兵衛