大陸戦線異聞
「こういう事態は想定していなかった上に、重量を減らすために燃料は最低限しか積んでない。最寄りの空港まで持つかどうか祈るしか無いぞ」
「ええ・・・」
「わ、分かってます!」
女とフィオナがそれぞれ応えた。男は右足のブースターペダルを床に届かんばかりに踏み込み、姿勢制御用のスラスターも全て下に向けて全開にしていた。鳴り響くアラームは既に男によってオフにされていた。
「い、今のところ、うまく進んでませんか?」
沈黙に耐えられなくなったフィオナが男に呼びかけた。だが、
「今のところは、な」
男は全く安心していなかった。