君の夢買います
たしかに、同じクラスになったら、イヤミばっかりいって、ぼくに突っかかってくる。いや、ぼくにというより、サッカー部のメンバーにだ。
そう考えると、サッカー部の連中だけにあのチラシが配られたとすると、カズマが犯人だということはつじつまが合う。理由はさっぱりわからないけど。
「勉強は、お母さんがいい学校に行くようにっていってるみたいだけど、好きなことをみんな止めちゃって、あいつ……」
トオルはカズマに同情しているような口ぶりだ。
運動してたってトオルは成績もいい。カズマはお母さんのいうことを聞いて、自分の好きなことをやめたんだろうか。
カズマのサッカーしている姿と、分厚い本の間に漫画本をはさんで読んでいた姿が思い浮かんだ。
土曜日の朝が来た。
チラシをもらっていないトオルがいるから集合場所は近くの駄菓子屋の前だ。集まったのはユウジとフユキとトオルとぼくの四人。
「結局、この四人か。でも、あんまり大勢よりもいいかも」
トオルがいうと、突然ぼくの背後から声がした。
「わたしもいるわよ」
「な、なんだよ。姉ちゃん」
「何だか、面白そうだから、あんたのあと、ついてきたのよ」
「いいよ。帰れよ」
「何いってんの。これでも協力しようと思ってきたんだから」
ぼくが文句を言おうとしたら、トオルがさえぎった。
「いいじゃないか。お姉さんにも手伝ってもらおうよ」
まず、ぼくたち三人が公園に行き、トオルと姉ちゃんは離れた所から公園の様子をうかがうことにした。この時ぼくはあることをトオルから耳打ちされていた。うまくいけば、インチキを暴けるんだ。ちょっとドキドキしながらおじさんが来るのを待った。
間もなく、おじさんがやってきた。
「やあ、ケン君。今度はねぞうはよかったかい?」
ぼくは答える代わりににやっと笑った。
「じゃあ、いつものように目を閉じて」
ユウジとフユキは目をとじた。でも、ぼくはトオルに耳打ちされた通りにした。
「では、研究所に行きます。身体が浮きますよ。心配はいりません。リラックスして」
この前のようにパン!と手を叩く音で、目を開けると、博士が出てきて、また同じように枕を機械に入れて、夢を再生することから始めたんだ。