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鋼鉄少女隊  完結

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「すみません。ラ・ピュセルのリーダ藤崎彩です。実はピュセルタイム2は来月から、ここ青森でも放送されることになりました。よろしくお願いします」
 戸田明日香、村井雪乃と残りの6人も自己紹介していく。
 
 突然、OG五人も舞台に出てくる。全員黒ワンピース姿。ブラック・ピュセルの黒旗を持つ。
 川口真由美が吠える。
「藤崎! 怪しいと思って来てみたら、これなんや! あかんやろー。おまえ、ピュセルのコンサートやるって、ネットでウワサばらまいてたなぁ!」
 突然、会場から真由美コールが起きる。
「マユミ! マユミ! マユミ!」
 川口の顔がほころぶ。
「あ、どうもありがとうございます。嬉しいです……」
 川口は彩に突然、優しくなる。
「藤崎。もうええ。もうええわ。もう今日は気分最高や。ピュセルタイム2返す」
 滝川景子が割ってはいる。
「川口さん! 駄目でしょ。甘やかしちゃ。こいつらの為にならないって」
 会場から、景子コールも起きる。
「ケイコ! ケイコ! ケイコ!」
「あ……。ありがとうございます」
 滝川もおとなしくなってしまった。

 突然バックの巨大スクリーンに、ピュセルタイム2における、新旧ピュセルの抗争がダイジェスト版で流される。
 司会役が解説する。
「えー。こういうわけで、本日のコンサートが開かれたわけです。どうやら、新旧ピュセルも和解したようです」
 川口真由美と藤崎彩が握手する。川口が彩の手を上げる。
「これが、私達の後継者です!」

 司会がサプライズ発表をする。
「本日来ています、五人の元ピュセルメンバーにより、ブラック・ピュセルというグループが結成されます。今後CDの発売、コンサートも行っていくことになります」
 会場がわーっとわく。
「えー。ブラックと言っても、腹黒なわけではありません。若干、そう誤解させるような方々もいらっしゃいますが……」
 会場がどっと笑う。川口が司会者にすごむ。
「は? なんですか! なんか聞き取れんかったんやけど」
 長身の滝沢が司会者の肩を掴む。
「あ、冗談です! もちろん、見た目も腹黒なわけではありません。いわば、玄人という意味です。有段者の黒帯の黒。円熟した歌と踊りのピュセルという意味での、ブラック・ピュセルです」

 川口も滝沢も他の三人のOG達も感無量だった。卒業メンバー達はそれぞれソロ活動を行ったが、それほど、ぱっとしなかった。かってはOG達でグループを作って、現役ピュセルらと合同のコンサートや単独コンサートも開けたのだが、客入りが除々に低迷して行き今では消えてしまった。
 現在、OG達の主なる仕事は、スーパーマーケット、巨大電気店、競艇場などで、現役時代に歌ったピュセルの持ち歌を一人で歌う、一般に営業と呼ばれるイベント出演が多かった。テレビのバラエティ番組への出演よりも、よっぽど実入りのいい仕事だったのだが、全盛期のピュセルを体験した身には辛い仕事だった。 
 だから、OG達は台本上えらぶってはいるが、内心はこういうお膳立てをしてくれた、グリーンプロモーションと雪乃に感謝していた。
 最後に新旧ピュセル合同で、全盛期のヒット曲のいくつかを歌い、踊った。観客達は大盛況だった。

 雪乃が望んでいた、ピュセルの反攻が着々と進行していった。そして、巨大広告代理店直営のアイドルグループ、AZUMIとの戦いが始まろうとしていた。 
TDN、AZUMI側の、ばれなければ犯罪は犯罪ではないという発想の、卑劣な攻撃が始まろうとしていたのだ。


作品名:鋼鉄少女隊  完結 作家名:西表山猫