鋼鉄少女隊 完結
結局、雪乃は商品券を渡されて、家まで送ってもらった。それから、雪乃とこの兄妹は年は離れているが、友達のように、この故人の住居を起点によく釣りに行ったり、料理をしたり、雪乃が楽器を演奏したり、美佐枝が菓子の作り方を教えたり、と楽しい休日をともに過ごした。
ある日、雪乃は一人社長室に呼ばれた。彩や戸田明日香と一緒なら、仕事のことだが、一人で呼ばれるときは、たいがい説教される時なのだ。何も思い当たることはないのだが、
憂鬱な気持ちで社長室に入った。
そして、雪乃はその中に以外な人物がいるので、驚いてしまう。
「美佐枝さん！ どうして？」
山口美佐枝が社長と玉置とともに居た。社長がにこやかな顔で口を開く。
「村井君、実は洋菓子のアンジェリアさんとピュセルはタイアップすることになったんだよ。これも、君との山口さんとのつながりのおかげなんだが」
戸惑っている雪乃に美佐枝が名刺を渡してくれる。
株式会社アンジェリア 代表取締役社長 山口美佐枝とある。
「えっ！ 美佐枝さんて、アンジェリアの社長さんだったんですか！ だから、いつも会う度にアンジェリアのお菓子券くれてたわけですか……」
「そうなの。ごめんね。黙ってて。でも、私、あなたがとてもいい子なんで、あなたの手助けしたいの。あなたの望みはピュセルをもう一度メジャーにすることでしょ。大企業じゃないですけど、アンジェリアはピュセルの味方になりますから」