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四神五獣伝一話 1/2

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 実は彼女も、大学では考古学を選考しているため、考古学会の会員でもあり、両親のように遺跡に赴いて発掘こそはしないが、遺跡が建設された当時の時代の人々の衣食住などを研究している大学の教授の手伝いをしているので、両親とは顔見知りなのだ。だからこそ、両親が遺跡に出勤している夏休みの間、俺を彼女に託したらしい。
 しかし、遺跡の大発見の件の詳細は、まだ学会の上層部にしか知られておらず、学会から直接リナ従姉さんへは、伝えられていなかった。
「変な話ね。そんな巨大な水晶が、見つかっただけで確かに大発見だけど、中東に普及していた水晶は瑪瑙(アゲート)っていう天然石があって綺麗な輝きを放つけど、あくまで原石特有の輝きだけで、ダイヤモンドやエメラルドのような宝石みたいな輝きはないはずよ。」
「シルクロードから渡ってきた品物っていうのはどうかな、当時の貿易路を考えればありえない事じゃないぜ。」
「そうだったら、ラクダが主な運搬でトラックもない時代に人間大ほどもある水晶をどうやって運んだのよ。それに祭壇に飾られていたのなら、当時の信仰している神様か、もしくは当時の王家を祀る意味合いで王冠やネックレスとかに加工して飾るはずよ。なんの加工もされていないのは、不自然だわ。」
「そういう意味も含めて、今までの常識を覆す大発見なんだな。正に謎だらけってわけだ。」

 リナ従姉さんと色々口論をしている内に、スーパーに着いた。確か十年前はこんな所には、スーパーなど無かったはずだが、俺が都会に行っている間色々新しい建物が出来たのかもしれない、そう考えている内に車はスーパーの入口近くの駐車場に止まった。
「ちょっとここで買い物しようか。ライヤも、これからの生活の必需品くらいは揃えておきなさいよ。」
「いや。俺こっちに来る前に、一応下着や生活用品を揃えといて、それを運んでもらうよう引越し屋に頼んどいたから、特に買う必要な物はないけど…」
「じゃ、お菓子とか買っとけば。」
 別に買う物はないけど、せっかくなのでスーパーに立ち寄ろう。どんな物が置いてあるか気になることだし。
 スーパーの中は、食品、生活用品、下着のコーナーに分かれていて当たり前ではあるが、都会で俺がよく利用していたスーパーと大して変わらない。まぁしいて言うならば、物価が都会の物より安いということだ。品物の価格は、50~100円は違うぞ。
リナ従姉さんは洗剤を切らしてしまったから詰め替え用を買ってくるといって、生活用品コーナーに行ってしまった。レジ付近に残された俺は、そのまま突っ立ているのもなんなので、食品コーナーへ足を運びお菓子を二袋くらい買った。

「さぁ、着いたよ。」
スーパーで買い物を終え、再び車を走らせること数分。リナ従姉さんが車を止めた所こそ、彼女が研究家の他に管理人として兼業しており、俺がこれからお世話になる「神楽荘」だ。
「リナ従姉さんごめんね。大切な部屋を使わせてもらっちゃって。」
「いいの、いいの。管理人なんて肩書きだし。もともと廃屋だったアパートに学会の連中が、研究で泊まり込みが出来る場所が欲しいという理由で、業者に無理言って立て直してもらっただけだから。それに、住民が多い方が賑やかになっていいしね。」
 そんな会話をしている間、既に到着している引越し屋のトラックの荷台が開いた。その中には、俺が都会で準備した複数のダンボールが転がっても、衝撃が無いようクッションに挟まれていた。
 引越し屋のお兄さんが、
「すみません。荷物ここで下ろして大丈夫ですか?」
トラックに積んでいた荷物を取り出しながら俺に尋ねてきた。
俺は、咄嗟に
「あ、お願いします。」
 と、返答しながら一緒に荷物を降ろし、部屋に運ぶ。ひと段落ついた後、リナ従姉さんが「ご苦労様でした」と言った後、冷たい麦茶を持って来てくれた。荷物を運んだ後だったので、火照った体に冷たい飲み物を飲むのは、最高に美味しい。俺は、すぐに冷たい麦茶を喉に流しかむ勢いで飲んだ。
その後全ての荷物を降ろし、引越しの仕事を終えたお兄さんは、俺達に挨拶をした後引越し屋のトラックに乗り去っていった。
「ふぅ。だいたいこんなもんかな?これから俺の新しい生活が始まると思うと、ワクワクしてきたな。とりあえずこの町に何があるか探索するか。」
「そう。じゃ、私が色々案内してあげるから、また私の車に乗りなさいよ。その前に、麦茶を飲んだコップを片付けちゃうから、ちょっと待ってね。」
 リナ従姉さんがコップをお盆に乗せると、共同の水道(シンク)へ運んでいった。
「手伝うよ。」
俺も、共同の水道へ行こうとしたその時だった。
 やわらかい少女の声が聞こえた。
「君、今日引っ越してきたのか?」
 俺は突然の来訪者の言葉に反応し、
「ん?」
振り返ると、そこには女の子が立っていた。ポニーテールを纏めた長い銀髪が特徴的で、真紅の眼は見ているだけで吸い込まれそうになるほど魅力的な美少女だ。
「うん、今日この神楽町に引っ越してきた芯央ライヤっていうんだ。よろしく。」
 ちょっと、ありえないぐらいの美少女に対して俺はそう答えるのが精一杯だった。
「あれ、かがりちゃん。帰っていたの?」
 コップを洗い終えたリナ従姉さんが、その「かがり」と言う少女に向かって話しかけた。
「ただいまリナさん。今日新しく入居する男の子って彼のことですね。」
「そう、さっき自己紹介をしていたと思うけど、彼は芯央ライヤ。私とは遠縁の親戚よ。」
 リナ従姉さんと挨拶を交わす少女は、食料が入ったビニール袋を手に持っていた。どうやらリナ従姉さんが、俺を迎えに行っている間コンビニかどこかで買い物をしていたのだろう。
 すると俺の視線に気づいたのか、少女は微笑ましい顔で自己紹介の続きをした。
「私は、大道寺かがり。実は私もつい最近引っ越してきたんだ。」
 ニコッと笑う彼女の顔は、犯罪的に可愛らしく、思わず意識があさっての方向へ行きそうになった。言葉使いは女の子らしくないけど、そこがまた堪らなくグッとくる。
 はっ。イカン、イカン。初対面の相手しかも、女の子の前で醜態を見せてはいけない。何事も第一印象を大切にしなければ。
「え、そうなの?じゃ、まだこの町に何があるか知らないのか。」
 俺は、必死に意識を元に戻しながら「かがり」という銀髪の少女に話題を振った。
「そんなことないよ。これでも結構この町を探索したほうだよ。ここからちょっと足を運べば、大きなショッピングモールもあるしね。」
「えっ、ショッピングモール!?」
 意外だった。一昔前までは田舎町という言葉がよく似合っていたこの神楽町に、そんなモールクラスの施設ができていたなんて。
「へぇー、やっぱり思っていたほど田舎じゃなくなったんだな。」
「でも、ちょっとといっても車で2、30分はかかるよ。まぁ、確かにここら辺じゃ規模は最大だけどね。バスも通っているし。」
 感心した俺に、リナ従姉さんが後付けをし、提案した。
「そこまで気になるなら案内しよか。ライヤも調度探検しようと考えていたところだし。よかったらかがりちゃんも一緒に行く?」
作品名:四神五獣伝一話 1/2 作家名:トシベー