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戯曲 フォビア

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リアーヌ
 何だか怖い男ね。
アニタ
 存外、あの男なんじゃなくって? あの女を殺したの。
リアーヌ
 (身震いしながら)おお怖い!
ジギ
 滅多な事を口にするものではありませんよ。

     
           (上手からルイスが登場)

リアーヌ
 あら花売りだわ。
アニタ
 (笑って)花が無いわね、花売りの癖に。
ジギ
 おや、ルイスくん。
ルイス
 !(驚き後ずさりしながら)あ……。
ジギ
 おやおや、どうしたのです? どこか具合でも(ルイスに近づき肩に触れる)
ルイス
 (ジギの手を振り払い)やめて下さい!
ジギ
 何を言っているのです? 具合が悪いのですね、分かりました。
 私の所へいらっしゃい。診てあげましょう。
ルイス
 (青ざめて)け……結構です! ぼ……僕は……。
リアーヌ
 あら、本当に顔色が悪いわよ、坊や。
アニタ
 先生のご厚意に甘えさせて頂いたら? 私達みたいなものは体が資本なんだから。
ルイス
 (二人をキッと睨みつけ)僕はいいって言ってるんだ!
ジギ
 いけませんねぇ、やっと君は解放されたと言うのに。
ルイス
 な……にを……?
ジギ
 (ルイスに再び近づく)私は大人ですからね、何でも知っているんですよ。
 ねぇルイス……(ルイスの肩を抱く)
ルイス
 ……っ!(息を飲み、そのまま卒倒する)
アニタ
 (驚き)きゃあ!
ジギ
 おや、これはいけませんね。
リアーヌ
 先生、その子大丈夫なの? いきなり倒れるだなんて、やっぱりおかしいわ。
ジギ
 全くです。私がこのまま連れて帰りましょう。責任を持って診させて頂きますよ。
リアーヌ
 さすがは先生ね! その子、幸福だわ。
アニタ
 本当に運がいいわ! 
 普通なら私たちなんて使えなくなったら捨てられるだけだもの
 (ホホホと口元に手をあて笑う)
ジギ
 (気を失ったルイスを抱き抱え)それでは失礼しますよ。
リアーヌ
 はぁい! 先生、たまには客としていらして下さいな。
ジギ
 ふふ。今度また……。
アニタ
 それじゃあ先生、ごきげんよう!
ジギ
 はい、ごきげんよう。

        (ジギ、ルイスを抱いたまま下手へはける 暗転)

作品名:戯曲 フォビア 作家名:有馬音文