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陰陽戦記TAKERU 前編

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 一方、美和達は加奈葉が幽閉されている部屋の鍵を壊して加奈葉を救出した。
「加奈葉様っ!」
「み、美和さん……」
 すると加奈葉は泣き出しながら美和に飛びついた。
 しかしその体の震えが尋常では無かった。
「何かされたんですか?」
「酷い事してないって言ってたのに……」
 拓朗や香穂も学の事は信じてはいなかった。
 加奈葉がここにいると言う事は本当だったがもしかしたら鬼を憑依させてたり情報を吐き出させる為に痛めつけられたりしたのかも知れないと思ったのだ。
「違う…… 違うの……」
 加奈葉は泣き崩れて話すどころではなかった。
「それにしても……」
 辰弥はさっきから鼻を突く異様な臭いが気になった。何かが腐ったような……
「ここか?」
「桐生さん駄目っ!」
 辰弥がドアノブに手をかけドアを開けるが加奈葉が止める。
「なっ……」
 辰弥は息を飲むと慌ててドアを閉めた。
「どうしたの?」
「……香穂ちゃん、みんなを連れて武君の側に行くんだ」
「えっ、何かあったんですか?」
「……何を考えてるのかしら無いが、武君の友人はとんでもない奴だ」
 冷静沈着な辰弥も怒りのあまりに目を吊り上げた。
 するとようやく落ち着きを取り戻した加奈葉が口を開いた。
「……あいつ、自分のお母さんを生き返らそうとしてるの」
 学の母は体があまり丈夫な方ではなかった。
 学が小学校にあがると同時に体を壊し入院した。
 しかし学の父は仕事ばかりで見舞いにすら来ず、たまに家に帰ってきても自分の妻の事はなんとも思わずに二言目には『そんな事はいいから勉強しろ』としか言わなかった。
 しばらく経って母親が他界した訳だがそれから学の生活は酷い物だった。
 ロクに家に居ない事は変わらなかったが母親の葬式にも仕事だと行って帰らず、学校のテストは教師に頼み込んでファックスで送るように頼んでいたのだ。
 しかも100点を取っても喜ばずにそれが当たり前、98点を取ると2点足りないと叱咤する、そんな生活が高校になるまで続いたと言う。
「元々勉強してたのも唯一お母さんに喜んでもらう為だったの、でもそのお母さんも……」
「それで暗黒天帝に頼んで生き返らせてもらおうとした。でもそれは……」
 するとその時だった。
 突然5人の耳に爆発音が入った。
「武様っ!」
「……行こう」
 皆武器を構えた。