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陰陽戦記TAKERU 前編

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 研究所内は案の定鬼が待ち構えていた。
 それは一本角の黒い人型の鬼だった。
「どけッ!」
 俺が人達与えると鈍い金属音と供に鬼の体から何かが飛び散った。
 それは小さなネジやナットだった。
「こいつらロボット?」
「いや、違う!」
 桐生さんが言う、強化された視力で観察するとこの鬼達はパーツを作り組み立てて造られたロボットではなく金属片やネジなどを人型に固まっているだけだと言う、つまりは人間じゃ無い。
「なら容赦はいらない。」
 拓朗は前に出ると玄武のハンマーを構える、途端鎚部分が鋭い棘の生えた鉄球状のモーニングスターのような武器に変化する、
 拓朗が大きく振りかざすと鉄球部分が柄から離れて鬼達に向かって飛んで行った。
「はああっ!」
 鉄球は鬼をバラバラに破壊し、地面に崩れ落ちた鬼達は動かなくなった。
「やっぱり鬼の巣窟になってますね、皆さん気をつけて!」
 美和さんの心配はありがたい、それさえあれば百人力だった。
「学達は……」
 俺達は部屋中をしらみつぶしに探して行った。だがほとんどが物毛の空だった。
「残るはここか……」
 扉の上にあるプレートを見ると『所長室』と書かれている、俺は扉を蹴り飛ばすと部屋の中には探し人の1人がいた。
 黒い皮の椅子に座りながら大きな机の上に置いてあるノートパソコンを弄っているそいつは俺の友人であり敵の学だった。
「お前……」
 俺達が部屋に入るとキーボードを叩くのを止めた。
 そしてゆっくりと立ち上がりながらため息を零した。
「扉なら鍵はかけて無かったよ、そんな事をしなくても入れたのに…… 本当に野蛮になったね君は」
 俺は数歩前に出ると鬼斬り丸の切っ先を前に向ける。
「ああ、でも今はそれがいいと思ってるよ。全てを助けられるならな!」
 すると学は鼻で笑いながらポケットから携帯電話を取り出した。
「まだ分からないのかい? この世界は一度滅んだ方がいいんだよ、汚い人間はみんな殺してね……」
 俺は色々言い返してやりたかったがそんな暇は無い、だが1つだけ聞く事があった。
「……加奈葉は無事なんだろうな?」
 するとその答えはすぐ帰ってきた。
「それは勿論、彼女は僕の友達だ。手荒な真似なんかしないさ、この先の部屋にいるよ」
「本当だな?」
「おいおい、僕が信用できないって言うのかい?」
 正直信用できないが加奈葉の関しては何のメリットが無いのは分かってる。信じてもよさそうだ。
「みんな、加奈葉を頼む。」
「武様?」
「ここは俺が戦う、こいつとは俺が決着をつける」
「……分かった」
「お兄ちゃん、頑張って!」
 それだけ言うと皆部屋から出て行った。今残ってるのは俺と学だけだった。
「いいのかい? 仲間達と一斉にかかれば倒せたかもしれないのに」
「大勢で戦ったって負ける時は負けんだよ!」
 俺は鬼斬り丸の刀身に青龍の力を込めると学目掛けて突き出した。
 学目掛けて刀身が伸びる。
「おっと!」
 学は右に回避する、刀身を元に戻すと学は口の端を上にあげる。
「いきなり攻撃とは…… 随分いい趣味だね?」
「この前の事もあるからな、用心の為だ。」
 俺はこいつの挑発に乗って結界に引っかかった事があるからな、もうあんな目はゴメンだぜ。
「もう大丈夫だよ。そんな物よりもっと凄いのを貰ったからね」
「んだと?」
 すると学は携帯電話をグッと握り締めると携帯電話から黒いオーラが出て学の体を包み込んだ。
「さてと、始めようか!」
 そこに現れたのは全身が赤黒く、頭と肩に鋭い2本の角を生やし、胴体が髑髏のようになった甲冑を着こんだ学だった。そして右手をかざすと黒くて禍々しい刀身の両刃剣が現れた。