陰陽戦記TAKERU 前編
その廊下を飲み物とサンドイッチを乗せたトレイを持った学が歩いていた。
そしてある一室の前に立つとポケットに手を入れて鍵を取り出した。
その鍵で扉を開けると椅子とベットしかない小さな部屋の中に1人の少女がいた。
「やあ加奈葉、いい子にしていたかい?」
「学……」
加奈葉は怯えていた。
両手には暴れない為に手錠がかけられベットに腰を下ろしている。
窓にも冊子が取り付けられ逃げられない様になっている。
「お腹空いたろ、食事を持って来た」
学はトレイを机の上に置く、すると加奈葉は迷ったが思い切って問い正した。
「どうして?」
「ん?」
「本当にどうしちゃったのよ、何であんな酷い事を考えるのよ?」
加奈葉は学から聞いていた。
暗黒天帝に協力していた事や暗黒天帝自身の体を作っていると言う事も全て……
「何を今さら……」
「暗黒天帝が復活したらどうなるか、アンタ分かってるの?」
「知ってるよ、世界が平和になるんだろ?」
「そんな訳無いじゃ無い、美和さんに聞いたけど…… 多くの人達が命を落とすのよっ!」
「だったら生き返らせてもらえばいいだろ、暗黒天帝様に」
「えっ?」
加奈葉は耳を疑った。
「今…… 何て?」
「聞えなかったのかい? 今まで死んだ人間なんて生き返らせてもらえばいいって言ったんだよ。簡単だろ?」
「何言ってんのよ…… そんな事できる訳ないじゃない!」
死んだ人間が生き返るなど誰しもが望む事だが実際そんな事できる訳がない、
加奈葉はそれをはっきり言うが学は鼻で笑った。
「できるさ、なんなら見せてあげるよ。」
学は加奈葉を立たせて部屋から出すとすぐ向かいの扉を開けた。
途端物凄い腐敗臭が鼻をつき目に染みて思わず顔を背けたがやがて部屋にあった『もの』を目の当たりにすると恐ろしさのあまり立っているられなくなり顔を塞いで絶叫した。
「い、いやああぁーーーっ!」
しかしそんな加奈葉を他所に学は目の前の『もの』を見て目を細めて口の端を上げた。
作品名:陰陽戦記TAKERU 前編 作家名:kazuyuki