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陰陽戦記TAKERU 前編

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 その頃、とある暗い部屋の中で学はパイプ椅子に座り足を組み、その上にノートパソコンを乗せて画面を見ながら舌打ちをした。
 自分のマンションに仕掛けていた鬼の反応が消えたのだった。
「……まぁ、こうなる事は分かってたけど」
 自分が暗黒天帝に協力していると知れている以上武達がマンションを調べるなど分かりきっていた事だった。
 よって鬼にすべてを破壊、あわよくば武達も葬り去ろうと考えていた。
「あのマンションは用済みだったしな、どうせ住民達を元に戻しても同じ事だ。最終的に皆僕の前に平伏すんだから」
 学はディスプレイを折り畳むと目の前を見た。
 目の前には巨大な黒い卵のような物が宙に浮かんでいた。
 学は椅子から立ち上がるとその場から離れて閉じきっている窓の側までやって来た。
 そしてカーテンを開くと眼下に聳える町を見下ろすと口の端を上に上げた。
「武も分かってくれるだろう、この腐った世界が滅んで生まれ変わる世界がどれだけ素晴らしい理想郷かを、そこにはゴミみたいな人間は1人もいない、混じりっ気もない純粋で単純な世界だって事を……」
 学はやがて顎が裂けるくらいの大きさで笑い出した。
 そして黒い卵はこれから起こる不吉を表すかのように不気味に輝いていた。