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陰陽戦記TAKERU 前編

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 戦いには勝った。
 でも空振りだったのは間違いない。
 鬼に寄生された人達は元に戻ったけどこれだけの騒ぎを起こしたのだから俺達も急いで逃げる必要があった。
 俺達は家に帰ってくると飲み物を用意して一休みをしていたが俺は庭で鬼斬り丸を見ているとそこへ美和さんがやって来た。
「武様、そろそろ準備ができるそうです…… 武様?」
「美和さん、」
 俺は美和さんから目を背けるが思い切って鬼斬り丸を突き出した。
「美和さん、俺戦うよ…… 麒麟が復活してなくても、俺には戦わなきゃいけない理由がある。」
 俺は子供の頃に学と約束した事を思い出した。
 あいつは子供の頃から頭がよくテストはいつも100点で当たり前だった。
 その為かよく他の子供達に虐められていた。その度に俺や加奈葉が助けてた訳なんだが、俺はあいつに言った言葉がある。
『俺、大きくなったらはみんなを助けるヒーローになるんだ』
 ってな……
「あいつと約束しちまったんだ。だから俺は戦うよ。そして…… あいつも加奈葉もこの町もみんな助ける、それが俺のヒーローだ」
 美和さんはこの時代に来てヒーローの意味を知ってる、美和さんは暗い顔をして頭を下げた。
「……ごめんなさい」
「何だよ、突然?」
「……臆病だったのは私の方です。私は暗黒天帝の力に後ろ向きになっていました。奴を倒すのに必要なのは聖獣達でも法術でも無い、一番大事なのは戦おうとする人の意思だって事を……」
 美和さんのしょんぼりした顔は似合わなかった。俺は美和さんの肩に手を置く。
「気にすんなって、ようは負けなきゃいいだけなんだからさ」
「ええ」
 美和さんは頷いてくれた。
 すると拓朗が縁側から俺達を呼びにきた。
「武先輩、美和さん! 準備が出来ました!」
「分―った!」
 俺は言葉を返すと今度は美和さんの手を掴んだ。
「行こうぜ美和さん。 
「はい」
 俺達は絶対負けない、首を洗って待ってやがれ暗黒天帝、俺から奪った大事なモンは必ず取り返してやるぜ!