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陰陽戦記TAKERU 前編

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 部屋には誰もいなかったが代わりにとんでもない物を見つけた。
「何だこりゃ?」
 天上に俺くらいの巨大な楕円系の球体を見つけた。
 黒くて大きな物が天上に張り付いて根を張っている。
「武様、これが人々を操っている鬼です!」
「じゃあこいつを倒せば!」
 俺が鬼斬り丸を構えた途端鬼の方に変化が現れた。何と黒い体に目が生えて光線を発射してきた。
「うわっ!」
「くっ?」
 俺達は光線を交わすが狭い部屋の中じゃ思うように動けなかった。
「滅ッ!」
 美和さんが素早く光の矢を放つと矢の先端は鬼に突き刺さり鬼の目が大きく見開いた。
『ギャオオオッ!』
 すると鬼の体に変化が現れた。
 美和さんの放った矢の当った場所から亀裂が入ると鬼の全身に広がるとガラスのように砕け散りその中からバスケットボールくらいの球体が現れて窓を突き破り表に飛び出した。
「何ぃ?」
 その球体は徐々に大きくなり全身黒い巨大な4枚の翅に赤く禍々しい巨大な複眼の目と頭から2本の角が生えた6本足の蛾の様な鬼となった。
『ギエエーーッ!』
 鬼が人間の歯茎にも似た口を開いて大きく咆えると巨大な2つの目に光が集まるって巨大な光線となって放たれた。
「美和さん!」
 俺は美和さんを抱えて伏せるとレーザーは部屋を貫通、建物を貫いた。
「何て威力だよ……」
 正直今まで戦った鬼の中で一番強い、しかもまだ太陽が輝いてるってのに平然と外に出てやがる。
「暗黒天帝が力を取り戻したんです。ですから鬼も強力になったんです。」
「ちょっとやそっとじゃ消えないって訳か……」
 俺は立ち上がる、
 ハズレだったがこいつをほおって置く事はできない。
「武様、行きましょう!」
「えっ、行くって?」
 俺が尋ねると美和さんは朱雀の宝玉を握り締めると破壊された窓から外に飛び出した。
「朱雀!」
 美和さんの背中に炎の翼が生えて宙に浮かんだ。
「武様も早く!」
「は、早くったって……」
 普通こんな所からジャンプしたら死ぬって……
 俺が迷っていると美和さんはそれを察したように叫んだ。
「朱雀の力は戻ってます。武様も飛べます!」
「あ、そうか……」
 でもやっぱり抵抗はある、しかしそれだけじゃいけないと思った俺は朱雀の力を鬼斬り丸に加えた。
 金色の刀身に赤い光が螺旋を描き俺の背中にも羽が生えた。でも俺の場合はどっちかって言うとロボットアニメみたいな金色のビームウィングだった。
 とにかく目を閉じて思い切って窓から飛び出すと本当に俺は宙に浮いていた。足元がスカスカしてる上に俺もあまり高い所は平気じゃ無い、思わずビビっちまったが今は鬼を倒す事が先決だった。
「行くぜ!」
 飛び方は朱雀が宝玉を通して教えてくれた。正直あまり馴れてないから力になれそうにないが出来るだけの事はやってみようと思う、
 俺はとにかく鬼斬り丸を構えて鬼に突っ込んだ。
「うおりゃああああっ!」
 しかし案の定交わされてしまった。
 そりゃそうだ。足場が無くなったって事は前後左右の行動範囲も増えるって事だもんな。
「このっ!」
 俺は玄武の力で氷塊を飛ばすがやっぱり鬼に交わされてしまう、すると鬼は反撃して目から怪光線を放った。
 上手く飛べない俺は攻撃をまともに喰らいバランスを崩して地上に落下した。
「うわああっ!」
「武様っ!」
 俺はこのまま死ぬのか?
 そう思うと俺は夢で見た学や加奈葉と遊んだ時の記憶を思い出し供に過ごした時が流れた。その中には俺が野球チームに入ってホームランを打った時に一緒に喜んでくれた事、高校受験の時に勉強を教えてもらった事、北の山で遊んだ事も含めた事…… それは全部大事な俺の思い出だった。
「あっ!」
 すると俺はある事を事を思い出した。
 小学校を卒業する時に俺は……
「……そうだ、思い出したぜ!」
 俺の背中の羽が勢いよくはじけると落下速度が遅くなり、コンクリート激突寸前で止まった。
「っと、」
 背中の羽が消えて俺は両足で立ち上がる。
「すっかり忘れてたぜ。何であの約束忘れてたんだ……」
 鬼斬り丸の柄を握る手に力を入れると俺は美和さんと鬼が戦っている上空を見上げる、美和さんの光の矢と鬼の光線がぶつかり合い火花を散らしている。
「美和さん、俺分かったぜ!」
 再び背中に光が集まると弾けてさっきより力強い輝きを放つ羽となった。
 そして膝を曲げて地面を蹴った。
「うおおおおっ!」
 俺は鬼に向かって一直線に飛翔した。
 上手く飛べないならぶつかってやるまでだ!
『ギギっ?』
 鬼が気付くが遅かったみてぇだな、俺の狙いはこれだ! 
「燃えろ、鬼斬り丸――っ!」
 突き出した鬼斬り丸の切っ先から炎が溢れ出し俺を包み込んだ。だが決して熱い訳じゃ無い、何せこの炎は俺自身だからな!
『グガアアアッ!』
 俺は鬼の体を貫くと黒い胴体にどでかい穴が開いて鬼の顔が苦痛に歪む、
「こんな所で、立ち止まってられるか!」
 俺は鬼に向かって鬼斬り丸を構え直すと大きく上段に構えて麒麟の力を解放、鬼斬り丸の刀身が光り輝く巨大な刃となると朱雀の力も加わり鍔元から炎が噴出した。
「止めだーーっ!」
 大きく振り下ろした炎と金色の刃で鬼は真っ二つ、爆発しながら四散した。
「武様!」
「美和さん、俺やったよ。」
 すると美和さんは微笑しながら頷いてくれた。