陰陽戦記TAKERU 前編
第九話 暴かれた真実
俺達は黒い柱を目指して走った。
法力の方はまだ回復して無いがとりあえず走るくらいはできる。
俺達は走りながら桐生さんから推理を聞いた。
「恐らく敵は俺達がここに来る事を知っていた。そこで先にここに来て朱雀の宝玉を手に入れて作業員達を鬼に変えていたんだ」
「でもどうして?」
「恐らくあれだ」
この先にある黒い柱、それが暗黒天帝の真の目的で朱雀は二の次だったって事になる。
「あの黒い柱は怨霊の塊です、あれだけの物がこの地に封印されていたんです」
そう言や加奈葉がこの周囲が昔処刑場だって言ってたな近くの森の中に慰霊碑が立ってるって……
「武君、それ誰から聞いたんだ?」
「えっ、加奈葉から…… まぁ、加奈葉の奴も友人に聞いたみたいですけど」
確かここが刑場だってのは博から、発電所で異常が起こってるってのは亜由美からだったな。
「それだけか?」
「えっ? ああ、俺と加奈葉の幼馴染で学って奴がいるんですけど、そいつがこの辺りで怪物が目撃されてるって…… って何でそんな事聞くんですか?」
俺は全く意味が分からなかった。すると桐生さんは少し迷ったようだがやがて思い切って口を開いた。
「武君…… 暗黒天帝は君の近くにいたんだ」
「ええっ?」
俺は足を止めた。
何言ってんだこの人は? 俺は暗黒天帝がどんな奴かも分からないのに……
「そう言う意味じゃ無い、君と加奈葉ちゃんの友人の誰かが暗黒天帝に協力しているかもしれないって言ってるんだ」
「なっ?」
とてもじゃ無いが信じられなかった。
俺の仲間達はそりゃ皆馬鹿だけど良い奴ばかりだ。
それが暗黒天帝の悪事に手を貸してるって言うのか?
「桐生さん、ちょっと言い過ぎですよ!」
「……そうだな、俺のはただの想像だ。気にしないでくれ」
桐生さんは頭を下げる。
別に桐生さんが悪い訳じゃないのに……
「いえ、俺こそすいません、ちょっと混乱しちゃって……」
俺達は再び走り出した。
でも俺は桐生さんの言葉が頭から離れなかった。
俺の仲間で怪しいって言ったらやっぱり情報提供した博や亜由美か?
でも今までの事件を整理すると仲間全員が怪しく思えてくる、俺の仲間全員が鬼絡みの事件に関わってるんだからな、そう言う考えなら一番怪しいのは加奈葉になるが……
まぁ、あいつは無いな。もし俺達を始末したいなら作る飯の中に毒を盛れば簡単に終わる……
そう言えばあいつどこに行ったんだ?
作品名:陰陽戦記TAKERU 前編 作家名:kazuyuki