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陰陽戦記TAKERU 前編

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 俺と加奈葉は拓朗や香穂ちゃんと合流するとバスに乗って火力発電所にやって来た。
 ここが都内全ての電気を作ってる所か…… 
「おーい」
 声のした方を見るとそこにはすでに美和さんと桐生さんも待機していた。
「本当にここなのか?」
「……多分」
 自信が持てないのが辛い所だった。
 何せ情報が少なすぎる、今もそうだったが今回は確証が無い、
 桐生さん達も俺達が来る前に一通り調べたみたいだが鬼が暴れた形跡も聖獣達が落下した証であるクレーターが無かったと言う、時間も掛かりすぎたしすでに埋められたと言う可能性もあるが……
「……っ!」
 すると美和さんは前に出て手をかざした。
「……かすかですけど感じます。朱雀の気配です。」
「マジで?」
 ふと隣りを見ると加奈葉の奴は俺の視線に気付いて勝ち誇ったような顔をしやがった。
「あっちです!」
 美和さんが指差した方向は発電所の中だった。だけどここって関係者以外立ち入り禁止だよな、
「大丈夫ですよ」
 すると美和さんはポケットから札を出すとボソボソと呪文を唱えた。
 それは持っているだけで周囲の人間から意識されないと言う呪文をかけた札だった。
 つまりこれを持っていれば無条件で発電所には入れる。しかし問題があった。
「3枚しかありません。」
 朱雀は美和さんと契約してるから彼女は行くとしてあと2人か……
 まず加奈葉は関係ない、となるとあと2人…… 拓朗と香穂ちゃんは危険だし、そうなるとやっぱり……
「じゃあ行ってくるよ」
 俺と美和さんと桐生さんは発電所に入って行った。
「いやに静かだな……」
 夕方とは言え作業員達はいるはずだった。それが人っ子一人いやしない……
「妙だな。人がいないなんて……」
 桐生さんも俺に賛成だった。
「ん?」
 どう言う事だ?
 目の錯覚か? 目の前に赤い宝玉を発見した。しかも赤い奴だった。
「朱雀!」 
「美和さん!」
 美和さんは朱雀の宝玉に近寄り手に取った。
「武君、おかしいと思わないか?」
「あ、ええ……」
 そりゃそうだ。明らかに不自然すぎる…… 
 廊下の真中に落ちてるなんてどう見たって怪しいだろ。
「美和さん、離れろ!」
「はい? ……ああっ?」
 だが美和さんは宝玉を手に取るとその時だ。
 宝玉から黒い禍々しい触手のようなものが飛び出して美和さんに絡みついた。
「きゃああっ?」
「美和さん!」
 俺は美和さんを助けようと駆け寄り手を伸ばす。
 すると黒い触手は俺の腕にも巻きついた。
「武君っ!」 
 桐生さんは青龍を取り出して銃化させるが時すでに遅し、俺と美和さんは黒い触手に飲み込まれしまい意識が遠くなって行った。