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陰陽戦記TAKERU 前編

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第八話 炎の復活


 洋館事件から数日が過ぎた。
 8月も半ばに差しかって来たある日、俺達は鬼の大軍と戦っていた。
 その数はおよそ20を越え、俺の鬼斬り丸、美和さんの弓、桐生さんの青龍の銃、拓朗の玄武のハンマー、香穂ちゃんの杖が鬼達を撃破していった。
 しかし相手にしている鬼の殆どが人間を媒介に変化した鬼ばかりだったが妙に数が多いし強かった。
 美和さん曰く別に陰の気を上乗せさせられた訳では無いらしいが、それにしてはやけに成長も力も明らかに違っていた。オレにとっては変な能力使われるよりはマシだけどな、
「つ、疲れた〜……」
 とりあえず俺の家に帰ってくる、
 時刻はすでに夜半過ぎ、さすがにクタクタだ……
「お疲れ様、ご飯できてるわよ、」
 加奈葉が夜食を用意して舞ってくれていた。
 ダイニングには大量のお握りが出来ていた。
 それぞれ梅と鮭とおかかの3種類作ってくれたらしいが、作っているうちにどれがどれだか分からなくなってしまったらしく皆同じ形でロシアンルーレットみたいだった。
「何だかやばくなって来たな……」
 俺は呟くと皆食べるのを止めて肩を落としした。やべ、何かやばい事言ったか?
「……そうですね、二式になって来ましたし、一体何があったんでしょうか?」
 俺達は話し合って鬼のレベルを型分けをした。
 美和さんと始めて合った日に出てきたトカゲみたいな奴やデパートに出てきた奴は暗黒天帝が自分の陰の気を練って作り出した鬼、これは『一式』と名付け、次に人間を媒介にしてにして陰の気を喰ら続け臨界点を突破し肉体を奪って鬼にしてしまうのは『二式』、その『二式』にさらに陰の気を上乗せして力を得た存在を『三式』と命名した。
 ちなみに鬼の力を持ちながら陽の気が消えなかったジョンは『特異』と呼ぶことにした。 
「もしかして……」
 香穂ちゃんは心当たりがあった。
 それはお盆が近いと言うのだ。
「お盆? 関係あるのか?」
「そうですね、関係あります」
 美和さんが言う、
 お盆は平安時代にもあったらしい、お盆とは祖先の霊が子孫の元を訪れ交流すると言う神聖なる儀式……
 霊的磁場の乱れから鬼がパワーアップするのも不思議ではないと言う。
「ここ数日で鬼達もかなり活発になっている、暗黒天帝もそろそろ動き出すのかもしれないな」
 と、桐生さん、
 その隣にいる俺は恐る恐る美和さんに尋ねてみる。
「美和さん、正直どれくらい強いんだ?」
「僕達だって強くなってます、みんなで戦えばきっと勝てますよ!」
 拓朗はそう言ってくれる、しかし美和さんは奴の力を知っている、その美和さんはこう言った……
「勝てる見込みは…… ありません」
 その言葉に誰しもが言葉を失った。
「ちょっと美和さん!」
「待て加奈葉!」
 俺はその理由は分かっていた。
 俺達には戦力が欠けている…… そう、最後の聖獣・朱雀の事だった。するとテーブルの上に置いておいた宝玉が具現化した。
『でもおかしいね、朱雀ならもうそろそろ現れても良い頃なのに……』
「そうなの?」
『うむ、朱雀は元々美和が契約していた聖獣……』
『きっとどこかで遊んでるんじゃないのか?』
『……お主ではあるまいしそれはありえん』
『あるいは連絡できない状態にあるのかもしれません…… どうですか美和?』
「……でも、力は感じない」
 美和さんも朱雀の気配を感じないと言う、
 契約しているのであれば本人とはテレパシーで会話ができるはずだと言う、
「いずれにしろこっちから探してみないか? あくまでも予想なんだがどうも嫌な予感がする」
 桐生さんは険しい顔になった。
 その後皆意見を交わすことは無く解散となった。そして朝を待って聖獣探索が開始される事になった。