小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

陰陽戦記TAKERU 前編

INDEX|60ページ/108ページ|

次のページ前のページ
 
 
 その夜、俺達は再び鬼の探索に乗り出した。今回は拓朗と香穂ちゃんも手助けしてくれる事になった。
 無論中学生と小学生が夜中に歩き回るなど警察に見つかれば補導されるので美和さんは2つの術を使った。
 1つは拓朗達の髪の毛を貰って造り上げた自分達にそっくりな分身を自宅に配置、もう1つは俺達以外には姿が見えなくなると言う物だった。
 これなら警察には見つからない、俺と拓朗、美和さんと香穂ちゃんの二手に分かれて行動した。
 しかし2時間経過しても何も進展しなった。
「くそ、本当にも無しか……」
 犯行時刻は鬼が活発になる夜、しかしその鬼は何処から現れてどうやって人を連れ去ってゆくのかも分からなかった。
 俺達は携帯で呼び合い公園に集合になった。とりあえず一休みにしてジュースを買った。
 美和さんにはオレンジジュース、香穂ちゃんはミルクティー、拓朗は意外にも緑茶だった。ちなみに俺はジンジャエールだった。
「ったく、本当に何処にいやがるんだか……」
 正直どうして良いか分からなかった。
 今回は単に倒せばい良いって訳じゃ無い、一体どうすりゃいいんだ?
「……困りましたね、鬼の気配が分からない」
 美和さんは首を横に振った。
 鬼を倒せずに人々が誘拐されてしまう事に責任を感じているのだろう、俺達は美和さんに言う。
「美和さんが悪くない、」
「そうですよ、悪いのは鬼なんですから!」
「お姉ちゃん元気出して!」
 しかし美和さんの暗い顔は治らなかった。
「せめて消えた人々の居場所がわかれば……」
「白虎、消えた人達の記憶は分からない?」
 香穂ちゃんが白虎の宝玉に話し掛ける、
『無茶言わないでくれ香穂、僕は人の記憶は読めてもその人がどこにいるのかまでは分からない。」
「打つ手無か……」
 俺は腕を組んで考える。
『ム?』
「どうした、玄武?」
「あっ!」
 すると俺は1つの影を見た。
 その影の正体は昼間見た男だった。
 男は俺達に気付くとその場から歩き出した。
「あいつ!」
「武様っ!」
 俺は美和さんが止めるのも聞かずに走った。もしかしたらあの野郎が鬼かも知れない、仮に違ったとしても関係があるんじゃないかと思ったからだ。
 しかしいつの間にか男の姿は消えていた。
「……見失ったか、」
 と思ったその時だ。
 突然辺りに靄が掛かった。辺り一面真っ白け、本当に何も見えなかった。
「参ったな、これじゃ帰れないぜ……」
 どっちに進めばいいか分からなかった。
 登山ではこう言う場合は下手に動かない方が良いがここは町中、車が走ってたら大変だ。とりあえずは安全な場所に行く必要がある。この辺の地理は分かってるから元の公園に戻れる。
「みんな大丈夫かな?」
 いくら公園にいるって行ってもやっぱり心配だ。携帯で連絡を……
「あれ?」
 携帯が通じなかった。
 町中なのに圏外になってる、この霧のせいかと思っていると目の前に明かりが見えた。
「車か?」
 俺は道の端に避ける、だが明かりは一向に近づいてこない、もしかして車じゃ無いのか? そんな事を思っていると……
「うっ……」
 俺の足が勝手に動いた。
 それどころか声すら出せない、何だこりゃ? 段々光の方に進んで行く、これじゃまるで光に寄せられる虫だ!
「はっ!」
 するとその時だ。
 突然霧の中から雷のような物が迸ると光に衝突して爆ぜた。
『ギャアアッ!』
「うおっ?」
 俺は自由になった。
 声も出せるし普通に指も動かせる、だがそんな事より今は目の前に現れた鬼だった。
 こいつは地面の下から現れた。まるで巨大な口のチョウチンアンコウに3本指の鰭が生えた四速歩行の巨大な鬼だった。
 今2本の角の真中の提灯を打ち抜かれ、水面と言うか泥沼のようになった地面の中を飛沫を揚げながらバシャバシャと暴れ回っている、霧も晴れて星空が見える。
 するとふと背後を振り返るとあの男が立っていた。手には銃口が龍のようになった青い拳銃みたいな武器を持っていた。
「やっと見つけた。行くぞ青龍っ!」
「青龍っ!」
 確かに奴はそう言った。
 途端銃口の龍の目が光出した。
『了解、辰弥様!』
 辰弥と呼ばれた男が引き金を引くと銃口から光の弾が発射された。
 それは鬼の体を撃ち抜くとそこから黒い煙が噴出した。
『ギャアアアッ!』
 鬼は顔を歪ませると地面の中に潜って行き2度と出てこなかった。
「待てっ!」
 俺は麒麟の宝玉を取ろうとすると男がそれを止めた。
「無駄だ。奴はもう現れない」
「ああっ? 何でだよ?」
 すると奴は言い返した。
「襲撃に失敗したんだ。大抵この場合は逃走するのが懸命な判断だ。上に指令を出している奴がいれば知らせに行く物だ」
 すると手の中の銃が光り輝くと青い宝玉となって手の中に収まった。
「武様―っ!」
 するとそこへ美和さん達がやって来る。
「大丈夫ですか……って、そのお方は?」
 美和さんがそいつを見る、
「彼女かなのか、青龍?」
 すると宝玉になった青龍が具現化した。実物を見た事が無いから分からないがアナコンダくらい大きく長い、青い鱗に赤い瞳に鹿みたいな角と2本の髭が生えた龍だった。
『……青龍っ!』
『無事だったんだね』
 すると白虎と玄武も子猫と緑亀位の大きさで出てきた。