陰陽戦記TAKERU 前編
その頃、少女は一人夜の町を彷徨っていた、ここは自分が住んでいた世界と違っていた、見慣れない服に建物、そして髪の色が違う人々……
「一体ここは……」
混乱して破裂しそうになる頭を抱えてブロック壁に背を持たれる、
そして手当てされた右肩を見た。本当なら礼の一つも言いたかったが自分と関われば迷惑が掛かる、それだけは避けなければならない、しかしもう一つ気がかりな事がある、それは太刀と5つの宝玉だった。
「どうしよう、あれが無いと……」
するとその時だった、
彼女は異様な気配を感じて身を構えた。途端空からあの黒い1つ目の影が降って来た。彼女の目の前で影は形を変えて行き、やがて普通の人間の3倍の大きさの巨大な1つ目の大蜥蜴の怪物となった。
『グオオオッ!』
怪物は巨大な大木のような足でアスファルトを砕くと大口を開けた。
すると紅蓮の炎が噴出した。
「滅っ!」
少女はとっさに交わして弓を構えて光の矢を作り放った。
しかし彼女の体力はまだ回復しておらず、怪物の皮膚に当ると弾け飛んで消えてしまった。
「くっ……」
少女は歯を食いしばる、
本当なら一撃で消滅させる事ができるのだが今の彼女には勝ち目は無い、
そう悟った彼女は一旦その場から逃げようとふら付く足に力を入れて立ち上がった。
作品名:陰陽戦記TAKERU 前編 作家名:kazuyuki