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陰陽戦記TAKERU 前編

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 美和さんが聖獣の気配を感じとり俺達はとある竹林へとやって来た。
 テレビでニュースになっていたので場所は分かったが報道陣が詰め掛けて調査どころじゃなかった。
 俺達は近くの自販機でジュースを買いながら今回の事を話し合った。
「あそこに聖獣がいたって事か?」
「間違いありません、白虎の気配を感じました。気も残っています」
「でもいなかったわよ、もしかして玄武みたいに地面の中に潜ってるとか?」
「いえ、白虎は『風』の聖獣なので地に潜る事は出来ません…… ですが物凄く気まぐれで、1つの場所で大人しくしている事ができないものですから……」
 虎と言うより猫じゃねぇか、
 本当に聖獣なのかと俺は聞きたくなってくる、だけど聖獣がいないんじゃ仕方ないな、これからどうするか……
「あ、ねぇねぇ、これから動物園に行かない?」
「はぁ?」
 いきなり何言って来るんだこいつは?
「ほら、夏休みなんだし、たまにはいいじゃない? 生き抜きも必要よ」
「お前なぁ、俺達は遊びに来た訳じゃ無いんだぞ?」
「でも聖獣いなかったじゃない」
「まぁ、それはそうだけど……」
 確かにどこに行ったのか分からない以上情報無しに探すのは雲をつかむような話だ。
「テレビでホワイトタイガーの赤ちゃんが生まれたって言ってたじゃ無い、私あれ見たかったのよ」
「ほわいとたいがぁ?」
「まぁ、何て言ったらいいのかな…… 早い話が毛皮が白い虎の事だよ。」
「白い虎……って白虎じゃないですか?」
「いや、美和さんが探してる白虎とは違うよ。こっちは実際する動物だし」
「聞くより見た方が早いわよ、アンタもバイトは夜からでしょう。どうせ暇なんだし行きましょうよ。」
 確かに暇だが人に言われると頭に来るな、
 だけど確かに夜までには時間がある、どうせ家に帰ってもゴロゴロしてるだけだし別にいいか、夏休みも始まったばかりだしな…… 

 俺達はタクシーで動物園へやって来た。
 ここは小学校の頃に遠足でよく来てたが今でも園内は大して変わってない、夏休みって事で子連れの客が多いって事以外はな……
「本当は亜由美や弥生と一緒に来る予定だったんだけどね、2人供用事で出かけちゃったのよ」
 加奈葉の話じゃ亜由美は海外に出かけてしまい、弥生も部活の合宿で今は熱海らしい、ちなみに和利、博、智之の3バカは期末で赤点を取ってしまい補習、良子は和輝の付き添い、学は塾の強化セミナーで軽井沢に行っていた。
 暇なのは俺と加奈葉だけだった。
「あら?」
 すると美和さんが1人の少女を見つけた。その子はジョンの事件の時に知り合った香穂ちゃんだった。
「香穂ちゃん?」
 俺が叫ぶと香穂ちゃんは俺達と目が合った。
「あ、お兄ちゃんとお姉ちゃん!」
 香穂ちゃんは目を輝かせて俺達の側に寄ってきた。
「何だ、遊びに来てたのか」
「うん、お姉ちゃんと」
 振り向くとそこには私服姿の鈴華さんがいた。
 両手にソフトクリームを持って辺りをキョロキョロ見回している、香穂ちゃんを探しているのだろう、俺は鈴華さんを呼んだ。
「あら、武君、美和ちゃん達も来てたのね」
「はい、近くまで来たものですから」
「ふ〜ん……」
 すると鈴華さんは美和さんと加奈葉の顔を見ると俺に顔を近付けた。
「な、何スか?」
(どっちなの?)
「はっ?」
(どっちが本命なの?)
「はああっ?」
 俺は顔が赤くなった。美和さんはともかく何で加奈葉がッ?
 信じられないとはこの事だった。子供の頃から一緒にいるからよく誤解されるが間違ってもそんな仲じゃ無い!
「私達、ホワイトタイガーを見に来たんです。」 
 すると加奈葉が言ってくる、
「ああ、私達も見て来たけど……」
 鈴華さんの目線の先には人だかりが出来ていた、カメラや携帯で写真を撮っている人間がたくさんいる。
 さすがこの動物園1の人気動物だな、しかも生まれてから3ヶ月ともなれば人気も上がるだろうな……
 とりあえず近くに寄るがやっぱり見えない、しかも人だかりも消える気配が無い、俺がジャンプしても見えないほどだった。 
「私、ホワイトタイガー見たかった……」
 香穂ちゃんは肩を落した。
「よし、肩車だ!」
 俺は香穂ちゃんを肩に乗せて持ち上げる、小学生だから軽い軽い、これが加奈葉なら潰れてるだろうしな……
「見えるかい香穂ちゃん?」
「うん、でも……」
 子供のホワイトタイガー達は木陰で寝ているらしい、暑さでバテ照るみたいだった。
「そうなるとデッカイ猫ね……」
 加奈葉が両手を上げる、
 すると香穂ちゃんが何かに気付いた。
「あれ、1匹多い?」
「えっ?」
 皆香穂ちゃんを見る、
 確かTVで放送していたホワイトタイガーの赤ちゃんは2匹だが3匹になっていると言う、香穂ちゃんは改めて数え直すがやっぱり1匹多いらしい、
「それって勘違いなんじゃないのか?」
「まさか、確かニュースだと2匹だって…… あれ?」
 加奈葉が檻の看板を見るとホワイトタイガーの子供が3匹と書かれている。
「やっぱ勘違いなんじゃない?」
「そうかな〜?」
 加奈葉は首を傾げる、
 すると俺の肩の上の香穂ちゃんが口を開いた。
「……あっ?」
「ん、どうした香穂ちゃん? 香穂ちゃんっ?」
 しかし香穂ちゃんは答えなかった。
 俺は上を見る事はできないので呼び続けるとやがて香穂ちゃんが俺に気付いた。
「えっ、何?」
「……いや、声がしなくなったからどうしたのかってさ」
「あ、何でもないよ……」
 肩車を止めて俺から降りた香穂ちゃんは首を横に振ったが何だか顔色が優れなかった。
 ちなみにこの後すぐホワイトタイガーは引っ込められた。
 何でもこれからさらに気温が上がり熱中症になるかも知れないからだと飼育係が説明した。
 俺達はとりあえず昼飯にする事にした。
「ん?」
ミートソースを掻き込んでいると俺の携帯電話が鳴るとそれは学からだった。
 もうすぐ昼だし、暇になったからメールしてきたんだろうな。
「えっと……」
 俺は携帯で動物園にいる事とホワイトタイガーを見に来た事を返信した。
 ただし聖獣の事は内緒にして……
「電話誰から?」
 加奈葉が聞くと香穂ちゃんを下ろしながら答えた。
「学からだよ、あいつ夏期講習って言ってたろ?」
「あ、そうか…… 学も大変よね、夏休みずっと勉強漬けなんて……」
「しょうがねぇよ、塾の夏期講習じゃあな」
 俺は携帯電話を仕舞った。
 俺達はこの後ぶらりと園内を見て周りこの一時を楽しんだ。
 殆どの動物達は夏の暑さにバテてしまっていたが平和が何よりだった。
 こうしていると鬼や暗黒天帝の存在が嘘のように思えてきた。
 しかし現実はそうも行かなかった。翌日、事件は起こった。