陰陽戦記TAKERU 前編
空の裂け目から出て来たのはそれだけではなかった。武達の姿が見えなくなるとそれは出てきた。
『何だ、ここは?』
黒く揺らめく影は眼を光らせて辺りを見回す、そして夜であるにもかかわらず地平線の彼方に星のように輝く光を見つけるとそこに向かって飛んで行った。そこは都心だった。
一番高いビルの上に止まると眼下に聳える建造物や人々を見る、そこは明らかにさっきまでいた場所とは違った。だが同じ所はあった。
『感じる、感じるぞ…… 人々の怨念の波動を、欲望の力……』
目が見開くと影は大きくなった、
『この力、あそこの物とは負けずとも劣らない、これさえあれば我が願いは成就する、だが!』
まずやる事がある、それは自分の敵の抹殺だった。
たかが人間の娘1人くらいどうと言う事は無いが可能性は潰しておく必要があった。
『カアァッ!』
すると黒い影から小さな黒い光が放たれると小さな一つ目の影となった。
『あの娘もこの世界にいる事は分かっている、波動をたどり奴を殺せ!』
影が命じると小さな影の方は夜の空へ消えていった。
作品名:陰陽戦記TAKERU 前編 作家名:kazuyuki