陰陽戦記TAKERU 前編
「んっ?」
俺は信じられない光景を見た。
突然暗かった空に雲も無いのに稲光の様な物が走るとまるでガラスでも割れたように粉々に砕け散った。
それと同時に赤、青、白、黒の光がそれぞれ四散して空の彼方へ飛んで行った。
「な、何だありゃ?」
すると今度は黄色いピンポン玉みたいな玉と1本の刀が振ってきてコンクリートに突き刺さった。
「うおっ?」
思わず後ずさりしちまった俺、あと一歩俺が前にいたら間違いなく串刺しになっている位置だった。
足元に転がっている玉の方も手にとって見ると何で作られてるのか分からないが結構堅く、脳天に直撃したら頭蓋骨陥没は免れなかっただろう、
しかしさらに驚いた事が起こった。何と今度は人が落ちて来たのだ。
「危ないっ!」
俺は思わず駆け出してその人を受け止めた、よく見ると俺と同じくらいの女の子だった。しかもメチャクチャ可愛い…… なんて言ってる場合じゃ無い!
「おい、しっかりしろ! 大丈夫か?」
だが女の子は目を覚まさなかった。
と言うか怪我をして着ている服も所々血が付いている、
「うう……」
女の子はかなり衰弱してる、早く医者に見せた方が良い、そう思った俺は空の裂け目の事も忘れて彼女を背負って医者を目指して走り出した。
作品名:陰陽戦記TAKERU 前編 作家名:kazuyuki