陰陽戦記TAKERU 前編
風祭神社から歩いて10分程度の所に墓地があった。
ここで美帆は墓石を前に両手を合わせて拝んでいた。
ここは去年死んだ両親の墓で、香穂は葬式以来一度も欠かさずここに来て天国への両親の冥福を祈っていた。
閉じた瞳からは一筋の涙が零れ落ち墓土に吸い込まれる、そこへ1つの足音が近づいてきた。
「ここだったか……」
そこに現れたのは1人の自分より年上の男だった。
一昨日と昨日出合った高校生だった。右手には菊の花束が持たれていて、その花を墓前に添えた。
作品名:陰陽戦記TAKERU 前編 作家名:kazuyuki