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陰陽戦記TAKERU 前編

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 残された少女2人、加奈葉は腰を抜かしてその場にしゃがみ込んだ。
「はぁぁ〜〜……」
 もはや言葉も出ない状況だった。
 しかし美和は部屋の中に入ると人差指と中指を立てると横から十字を切る九字を行った。
「臨・兵・闘・者・皆・陳・列・在・前っ!」
 美和が目を見開き法力で周囲の黒い霧を払うと事務室は元の静けさを取り戻した。
 そして床に倒れている人達の状態を調べた。彼等は気を失っているが命に別状は無かった。
「これで大丈夫です」
 美和は廊下にいる加奈葉に笑顔を見せる、
「……よ、よかったぁ」
 加奈葉は肩を落とす、
 しかし問題はこれからだった。
「加奈葉様、貴女はここにいてください、私はこれから武様を追います」
「ええっ、でも……」
 またあの道をとって行くのかと思うと加奈葉は恐ろしかった。
 暴徒と化した人々が襲ってくる、そうなれば美和が危機に晒される、
「そんな事を言われましても…… 鬼斬り丸が呼び出せない以上、武様お1人では危険です」
 そうは言うが加奈葉の言う通りだった。
 いくら美和が行っても弓が無ければ対した戦力にはならない、
「そこなのよ! ねぇ、何とかして鬼斬り丸だけでも呼べないの?」
「無理ですよ、あの『親』から放たれる気をこの建物から消さなければ、鬼斬り丸を呼ぶ事はできません」
 美和は首を横に振る、
 いくら法力を持ったとしても『親』を倒さない限りデパートの中では鬼斬り丸は呼び出せない、仮に自分達が外に出て取りに行くとしてもかなり時間がかかる。
「ようするに、『親』を倒さなくても陰の気が消えれば鬼斬り丸は呼べるのね?」
「そうですね、一番確実なのは光を浴びせる事なんですけど、建物の明りは消えてしまいましたし……」
 前にも言ったが鬼は基本的に光に弱い、電気程度でも『子』の方は消滅してしまうが人に寄生している限りは倒す事はできない、
 かたや『親』の方は人に寄生はできない上に倒す事はできないが一時的に陰の気を消す事は可能だという。
「えっ、そんな事でいいの?」
「そんな事って、一度明りを消したらそう簡単には……」
「じゃあ何とかなるかもしれない!」
 加奈葉は通路の奥にある扉を見つめた。その部屋は……